第6章 『八神はやて』
第51話 ハヤテのごとく!
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営はプレシアの情報提供により、ジュエルシードがたまたま暴走して、サーゼクスが巻き込まれたのだと思っている。
しかし、聡いアザゼルわかってしまった。どういう経緯かはわからないが、はぐれ悪魔をけしかけた先で八神が何かしたのだろうと。実は、あの夜、密かに監視をつけていたのだ。監視は駒王町ごと消滅したが、断片的な情報だけでも十分推理可能である。
優秀な頭脳の彼はわかってしまった。戦争の元凶は自分なのだろうと。和平を望んでいた自分こそが、戦争の引き金を引いてしまったのだと。
「へっ、ザマあねえな」
三大勢力の総力戦は、アザゼルの予想通り、最悪の結末を迎えた。天使も堕天使も悪魔も等しく滅んだ。あとはわずかな生き残りが居るばかりである。勝者はいなかった。
アザゼルもまた乱戦の中、命を落とす。彼の心中を知る者はどこにもいない。
◆
目を覚ますと、世界は青白い光に包まれていた。
ここはどこだろう。寒い。寂しい。けれども、湧き上がる感情は――憎悪。
『お前たちだけは絶対に……絶対に許さない!』
うつらうつらとしながら思い出す。
化け物と戦ったことを。
復讐を願いこの世から消えたことを。
自分は死んだはずなのに……。
ああ、そうか。これは、未練なのだろうか。
まどろみに包まれながら考える。
自分の願いは、あの化け物どもを根絶やしにすること。
けれども、力が足りない。
けれども、知識が足りない。
何もかもが足りない。
誰か助けて。
力が欲しい。青い光に強く願う。すると、様々な世界の「八神はやて」とつながった。
男だった。女だった。大人だった。子供だった。
学生だった。働いていた。剣士だった。魔法使いだった。
母親だった。父親だった。老人だった。赤ん坊だった。
……無限ともいえる世界の数々にいる「八神はやて」。
彼らの力なら、「自分自身」の力なら、使いこなせる。だから、
――――魔法の力を、時空管理局員になるはずの「八神はやて」から貰った。
――――原作知識を、男子高校生の「八神はやて」からもらった。
最後に、「新しい家族」をもらった。戦力という意味もある。
けれども、本当の理由は、復讐の代行者に、せめてもの餞別を渡したかったからだ。
頼んだよ、守護騎士に管制人格たち。
……ごめんね、もう一人の僕。
怨嗟と憎悪の中。新たに獲得した魔法の力と知識。そして、残された力―?ジュエルシードをすべて渡した。
青い光に包まれる5歳の、過去の自身をみて思う。願いはすべて託した。全てを終え、彼女は、眠りについた。
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