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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第51話 ハヤテのごとく!
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がな」
「総督は心配性ですね。天使陣営と不戦条約を結んでの電撃的な侵攻ですから。サーゼクス死亡で揺れる悪魔陣営に勝ち目はありません」
「シェムハザのいう通りだ。天使どもと組むのは気にくわないが、手を組む利は大きい。アザゼル総督の手腕はさすがだな」


 アザゼルの腹心シェムハザやコカビエルの中で、既に悪魔に対する勝利は決定事項だった。あとは、続く天使陣営との全面戦争に勝てば、堕天使が頂点に立つ。
 慎重なアザゼルも内心そのように思っていた。半年後のクリスマスまでには終わるだろうと。だが、クリスマスになっても戦争は継続していた。


「総督! 前線に出たコカビエルが、例の悪魔との一騎打ちの末敗れました!」


 悪魔領への侵攻は順調だった。サーゼクスの死亡。堕天使と天使による同時侵攻。さらには、アザゼルの計略により、旧魔王派まで蜂起していた。
 だが、ここで誤算が起きる。サーゼクスの妻グレイフィアが新魔王に就任し、電撃的に混乱を収拾したのだ。アザゼルの計算では、それは不可能なはずだった。どう考えても、混乱の収拾には1年はかかる見込みだった。

 
 それをご破算にしたのが――


「またしても転生悪魔プレシア・テスタロッサか」
「実力は明らかに魔王クラス、旧魔王派の鎮圧も彼女の功績が大きいようです。彼女本人の戦闘力も高いですが、それ以上に厄介なのが技術力ですね」
「『デバイス』……だったか?」
「はい、デバイスと呼ばれる魔道具の補助により、悪魔たちは戦闘力を飛躍的にアップさせました。下手な神器以上に厄介なうえに、大量生産され前線の悪魔に装備がいきわたっています」


 プレシア・テスタロッサ。突如現れたグレイフィア眷属の転生悪魔。魔王クラスの実力を持つと同時に、出所不明の技術を持つ人物。シェムハザは、彼女を全力で調査していたが、どこの出身なのか全くの不明であった。


 単騎でコカビエルを討ち取るほどの戦闘力も厄介だったが、彼女の技術によって生み出された『デバイス』が最悪だった。
 デバイスが魔法演算の補助をすることで、実力がワンランクアップする。下級悪魔が中級悪魔並の力を得るのだ。さらに、安価に量産可能であったため、悪魔陣営の力は跳ね上がった。


「数の不利を質でカバーするたあ、正気の沙汰じゃねえな」
「おかげで、開戦前の予想は外れ、総力戦になりました。こちらの消耗も無視できなくなっています」
「だからといって、いまさら後には引けねえよ。みんなまとめて破滅へとまっしぐらだ」
「総督……」


 事態はアザゼルの予想を超えて推移していた。いや、そもそも突然のサーゼクスの死亡を予想できるわけがない。いまだ、駒王町とサーゼクスの死亡の原因は分かっていない――アザゼルを除いて。
 悪魔陣
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