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フロンティアを駆け抜けて
ホウエンの怪物
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神秘の守り』!」

 落石を凌ぎ麻痺させる電気をメガガルーラに向けて放つのを、キュウコンが尻尾から発生させた妖しい力で弾き飛ばした。

「……『グロウパンチ』」
「えっと、じゃあ『影分身』よキュキュ!」

 近寄って来たピカチュウにガルーラ親子が殴り掛かる。それをキュウコンがガルーラたちの分身を作って、ピカチュウを取り囲むように出した。ピカチュウが逃げ場を失い。二発の拳がクリーンヒットする。ナッシーが『タネ爆弾』を使用したが、それは本体ではなく分身に当たった。

「決めろ、『炎のパンチ』」

 『グロウパンチ』の効果で二回分攻撃力が上がったガルーラ親子が今度は二発の燃えるパンチを撃ちだし、ナッシーの体を焼いて倒す。これがダイバの考えた基本戦略だ。メガガルーラの特性による二回攻撃で技の効果を利用しつつ攻め、メガガルーラを狙う攻撃や妨害をジェムが守る。そして『グロウパンチ』により能力の上昇したガルーラたちで相手を制圧していく。

「もう二体倒しちゃった。さすがね!」
「すぐに次が来る。気を抜かず、出しゃばらずに作戦を続けてくれればいい……」

 バーチャルトレーナーが二体目のポケモンを出そうと振りかぶる。そこで異変は起こった。ジェムとダイバのいる部屋の電気が突然消える。まだ昼間なため真っ暗にはならないが、それでも部屋の中はかなり薄暗くなった。

「な、なに……!?」
「……停電?」

 ボールを投げようとしたバーチャルトレーナーの姿も消滅し、バトルフィールドが静寂に包まれる。キュウコンが不安がるジェムの傍に近寄り、そっと9本の尻尾で包んだ。キュウコンの体を抱きしめながら、ジェムは言う。

「電気の使い過ぎでブレーカーが落ちたのかな……?」
「……あり得ないよ。普通の家じゃあるまいし。とにかく、しばらくしたら非常電源が作動するからここで待とう」

 とはいえダイバにも原因がわからないらしく、待つしかないようだった。しかし事態はそれだけではとどまらず――ジェムたちがいるよりもはるか上の方でガラスを破壊するような鋭い音と、バトルタワー全体に衝撃が走った。それとほぼ同時に非常電源が作動し、部屋の明かりは戻る。しかしバーチャルは消えたままだ。

「こ、今度は……?」
「……ヴァーチャルシステムが停止してる。この部屋だけじゃない。サーバー全体が落ちてる」

 ダイバはこのバトルフィールドの隅にある端末を操作する。対戦が終わるごとに手持ちを回復したり次のヴァーチャルを呼び出す機械だ。ポケモンを回復することは出来るようだが、ヴァーチャルポケモンを呼び出す機能が停止していた。ダイバはため息をついた。

「……仕方ない。一旦出直そう。今はパパも最上階にいるし、そのうち復旧するはず
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