暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
ホウエンの怪物
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も、僕にそれを押し付けるな。これは命令」
「待って、違うわ! 私が言いたかったのはそういうことじゃなくて」
「興味ない。今君とマルチバトルに挑む話をしてるのだって、単にママに勝ったトレーナーで言うことを聞いてくれるからってだけなんだよ。……調子に乗らないでくれる?」

 ダイバがサーナイトに目くばせする。するとサーナイトが小さな念力を発してダイバに耳を寄せていたジェムを軽く突き飛ばした。ジェムが思わずしりもちをつく。その体勢で顔を上げると帽子に隠れるダイバの顔が見えた。それはジェムには物凄く怒っているように思える。

「きゃっ……ごめんね。また勝手なこと言っちゃったよね」

 今はただ、それだけを。でもジェムは諦めるつもりはなかった。確かにジェムにはダイバが両親からどういうふうに扱われていたかはまだまだほとんどわかっていない。でも昨日学んだ、間違いないと思えることが一つだけあるから。

「君は僕の作戦の通りに動いてくれればいい。特別な期待もしない。昨日、作戦は考えてきたから今からそれを伝える。……サーナイト」

 サーナイトの目が再び輝く。するとダイバの考えたマルチバトルで使用するポケモンや技の連携。恐らくダイバの両親が使用するであろうポケモンの組み合わせを何パターンにもわけたそれぞれへの対応戦術がテレパシーとしてジェムの頭の中に入ってきた。ダイバが口頭でいちいち伝えるよりこちらの方が早いと判断しての事だろう。それらの情報が伝えられた後、言葉ではない意志がジェムの脳内に響いた。

「えっ?」

 一瞬、誰かに話しかけられたのかとジェムが周りを見る。しかし誰もジェムに話しかけてはいなかった。

「……サーナイト、何か余計なこと言った?」

 じろり、とダイバが自分のサーナイトを見る。サーナイトは静かに首を振った。ジェムはそれで、ようやく誰の言葉か理解する。

「ねえダイバ君、サーナイトって……もしかしてネフィリムさんにもらったの?」
「……そうだよ、それが。テレパシーで何て言われたの」

 ダイバにはテレパシーの内容は聞こえていなかったらしい。それでもテレパシーを使ったと分かるのはやはり一緒に居た時間の長さか。一瞬ジェムは躊躇った後、笑顔を作ってこう言った。

「主の役に立つために作戦通りお願いします、って。なんだかネフィリムさんみたいな言い方だなーって思ったから聞いたの」
「ふん……やっぱりママの考えることなんて結局そういうことなんだよ。挑戦中も複雑な指示が必要な時はサーナイトに伝えてもらうから、ちゃんとやってね」

 ダイバの母親を軽んじる言葉にジェムの胸がズキリと痛む。サーナイトを恐る恐る見たが、サーナイトは小さく微笑んだ。テレパシーは飛んでこなかったけど、お礼
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