ホウエンの怪物
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だけど……マルチバトルなら付けいる隙はある」
「どんなルールなの?」
「マルチバトルは、二人のトレーナーが二匹ずつのポケモンで挑んでダブルバトルをする。それでブレーンの元にたどり着いた場合、ブレーン側もパパ一人じゃなくてもう一人と二体ずつを使ってバトルすることになる。……その場合は、ママがパパのパートナーとなってバトルすることになる」
「ネフィリムさんが来るってことね」
ネフィリムはバトルクォーターのブレーンであり、ダイバの母親。ジェムが初めて勝利することのできたブレーンであり、大好きな人に利用されるのが幸せというちょっと変わった価値観のある人だったけど……それでもダイバの大事に想っている人だった。
「そう。ママ相手なら君でも勝てるのはわかってる。だからブレーンとのバトルが始まったらまず二人で集中してママから倒す。パパは守ることなんてしないから、邪魔はしてこない。それで四対二になったところを、二人がかりで倒す……これしかない」
ダイバの作戦は一見尤もだ。ジェムはネフィリムに勝利しているし、あれからまたジェムは強くなっている。そしてダイバはジェムより強いのだから、二人がかりで集中攻撃して数の有利を取り、それから自分たちより強いエメラルドを倒すのは理屈の上では正しい。
「……それで上手くいくかな?」
「は?」
でも、ジェムの胸に抱かれたのは疑問だった。昨日の夜父親に対して思ったのと似たような感覚。頭では正しいと思っていても、心で納得できない何か。
「あのね、私たちが集中攻撃でネフィリムさんを狙ったとしても簡単には倒せないんじゃないかなって、そんな気がするの」
「自信がないの? ……それとも、僕にはママを倒せないって?」
怒気の籠った言葉。ダイバには自分が母親よりポケモンバトルが強いという絶対の自信があるのだろう。それを否定するつもりはない、しかし。
「そんなことないよ、ダイバ君の方が強いと思う。でも、ダイバ君を育てたのはネフィリムさんでしょ? だったらダイバ君のことはよくわかってるはずだし、簡単には倒されてくれないんじゃないかって……あのね、私のお母様もポケモンバトルはもうしてないけど、それでもすごく強い人で――」
「くだらない。ママは僕の事なんてわかってないよ。……そもそも、育ててくれた覚えもない」
ジェムの言葉を叩き潰すような強い語気の後、ダイバはため息をついて呟く。
「……記憶があるときには、もう僕のママは僕の傍にいることより仕事を優先してた。たまに帰ってきた時も、グランパの開発したバーチャルポケモンとのバトルデータを見て褒めるだけ。そんなの……育てられたとは言えないでしょ」
「それは……」
「君が両親に好かれてるのはよくわかったよ。で
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