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フロンティアを駆け抜けて
ホウエンの怪物
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いてから」

 ジェムからすれば当然の疑問だ。ダイバが帽子を被り直し、呟くように答える。ジェムは言葉を聞き漏らすまいと近くに寄った。今から挑戦する相手の事は知っておいて損はないし、ダイバが自分の父親をどんな風に話すのかも興味がある。

「まず大前提として……僕のパパは、絶対に攻撃技しか使わない。『影分身』や『剣の舞』みたいな能力変化も、『電磁波』や『鬼火』みたいな妨害も一切しない。ただひたすら攻めるだけ」
「ええっ!? それって、あんまりポケモンバトルは強くないって事?」

 ポケモンバトルは攻撃だけでも、補助だけでも、妨害だけでも勝てないというのが常識だ。チャンピオンであるジェムの父親はいくつもの技を複雑に絡み合わせて使用するし、それでなくてもただひたすら攻撃し続けるなんてのはポケモンバトルの初心者がやることだからだ。しかしダイバは首を振る。

「……パパには必要ないんだよ。ただ攻撃し続けるだけで、どんな敵も倒せる。ホウエンの怪物に、ポケモンバトルの常識は通用しない」
「ホウエンの怪物?」
「パパが世間から呼ばれてるあだ名。パパのパパも結構大きな会社を動かしてたらしいけど、パパはそれよりもさらに大きな会社を作って今ホウエンの経済のほとんどを牛耳ってる。それはただ経営が上手なんじゃなくて……邪魔するやつがいたら、全部自分とポケモンの力で叩き潰せるから。それこそ、こんな島を一から作れるくらい」

 無人島を丸ごと買い取り、設備を整え、ヴァーチャルポケモンシステムを開発させたとダイバは説明する。それにどれだけのお金がかかるのかはジェムの想像出来る範囲を優に超える。そしてその過程で邪魔になった存在は、全て排除してきたのだろう。

「私たちをいきなりハンティングゲームの獲物にしたことといい、とんでもない人なのね……」
「あれくらい日常茶飯事だよ。それにこれは本当かどうか知らないけど……君のパパにも負けたことがないってパパとママは言ってるし、それを信じてる人は少なからずいる」
「私のお父様にも?」

 さすがにそれはない、と思いたかったが少なくともダイバが嘘をついているとは思えないし、今はジェムも自分の父親が絶対に無敵だとは思っていない。大事なルビーや自分の事をある程度放置してでも己の研鑽に当て続けていたことを知っている。

「だから……普通にポケモンバトルをしたらまず勝てない。君も、僕も」
「……!! じゃあ、どうするの?」

 ジェムには勝てない、というだけならショックではあるけど驚きはなかった。しかしダイバは自分でも勝てないと言い切った。思わず尋ねる。

「ブレーンを務める以上は、ルールに則って勝負をしないといけない。バトルタワーは才能を試す場所だからポケモンバトルのルールは普通
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