二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第24話 五体復活(1)
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姿を現した、十体以上の上位アンデッド。
町長やローブの男の後ろで横並びになると、一度静止した。
集まっていた自警団や冒険者の男たちのざわつきも収まる。
その代わりに、それぞれが剣を抜く音が、広い裏庭に響いた。
面長で切れ長の目を持つ、黒いローブの男――。
彼は、アンデッドを呼び出した笛を腰の小さな袋に仕舞うと、
「予定が狂ったな」
と、すぐ前の車椅子の町長に話しかけた。
「少し前倒しになっただけだろう。問題はないんじゃないのか」
「まあ……そうだな。術はすでに完成している。ここで計画を実行することになるが……構わぬか?」
「私のほうはもういつでもよかった。むしろ歓迎だ」
話している二人以外には意味不明な会話が交わされた。
「町長。何か企んでいたのですか?」
シドウがそう聞くと、町長はまたも禍々しい笑みを浮かべた。
「教えてやろう。つい最近、私の元に救い主が現れたのだ」
「救い主……?」
「そうだ。協力さえすれば、私に足≠与えてくれるという」
町長がそう言うと、後ろのローブの男が腰の袋から鈴を出し、チリンと鳴らした。
すると、背後の邸宅の裏口からもう一人、やはり黒いローブの者が出てきた。
背は、やや低かった。町長の車椅子の後ろの男とは異なりフードをかぶってしまっているため、顔や性別をうかがい知ることはできない。
そして、灰色の布に包まれた、やや短い棒のような物体を両手で持っていた。掴むような持ち方ではない。大切なものを運ぶように、両手の上に載せている。
その者はアンデッドの列をすり抜けると、町長の車椅子の横まで来た。
「町長、それは?」
「足だ。私は今ここで、五体満足の体に戻る」
町長がシドウにそう答えた瞬間、この場に衝撃が走った。
「五体満足の体に、戻る……?」
「えっ? どういうこと?」
シドウとティアが疑問を口にする。
後ろのメンバーからも、ふたたびざわつきが起こる。
「何年も前に壊死して切断した足を接着する、ということでしょうか? そんなことができる魔法はこの世に存在しないはずですが」
そう言ったのはアランだ。
半ばシドウやティア、背後の味方たちに対して説明するような言い方だった。
混乱するシドウたちをよそに、フードの人間は運んできた物を左手だけに持ち替えた。
そして、空いた右手で、包んでいた布を取った――。
「骨!?」
アランも含め、この場で町長と対峙している人間全員から、一斉にそう声が上がった。
布から出てきたものは、膝から下の、下腿の骨だった。
「ふふ。つい先日手に入れた骨だ。やっと大きさがぴったりで、きれいなものが手に入った。どうせ足を復活させ
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