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自然地理ドラゴン
二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第24話 五体復活(1)
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 フードの男が声をかけると、車椅子上で首を垂れていた白骨が、急にピンと姿勢を伸ばした。
 そして、車椅子から――。

 立ち上がった。

「足、だ……。足、だ……フハハハ」

 その声は、ややこもりがちに響いていた。
 生前の町長の声とはだいぶ異なっているが、しゃべったその内容から、町長が≠オゃべっているということが、はっきりとわかった。

「あ、アンデッドがしゃべったよ!?」
「え? まさか……生前の記憶が?」

 驚きの声を上げるティアとシドウ。

「自我の維持≠ノ成功したようだな」
「そのようですね」

 黒いローブを着た男と、下腿の骨を持っていたフードの男がそう言葉を交わした。

 思わず、シドウとティアはアランのほうを見た。
 もちろん、何か知るところはないか? という意味だ。

「いえ、そんなはずはないのですが……。アンデッドは生前の記憶や自我を持つことはありません。例外はないはずです――」

 これまたシドウやティア、そして後方のメンバーたちに説明するように、アランは言った。その口調からは、彼もかなり驚いていることがわかる。

「フハハ、足だ……最高、だ……」

 町長だったアンデッドは、その場で腿上げするように足を動かし、満足そうに感覚を確かめている。

「――しかし、その例外を……今私たちは見ているようですね」

 アランは小さくため息をついた。
 目の前に事実がある以上、認めるしかない。

「シドウくん、どうしますか?」
「シドウ、どうするの?」

 アランもティアも、シドウに判断を促してくる。

「はい……こうなった以上、もう生きているとは言えません。常識的に考えれば、町長は今このときをもって死亡した、ということになるかと思います。
 でも意識があるということは……。あ、ええと。すみません。俺にはよくわかりません……。もう生物でないことは確かですが、人格が保存されている存在を冒険者の判断だけで消してよいのかどうか……。今ちょっと混乱して……います」

 シドウは頭の中がまとまらず、素直に自身の気持ちを伝えた。
 しかし、シドウの言葉を聞いたアンデッド町長は、力強く主張を返してきた。

「フハハハ。私が生きているとは言えない? 違うな。私はここにいるではないか。足を得て、第二の人生が始まったということだ。もう食事も要らない、寿命すら訪れない。この素晴らしい体で、私は永遠に生きていくのだ」

「い、いえ……生きていないことは……確かです。食事が要らない、寿命がない――それはもう生物ではないはずですから……」

「フン、お前の理屈などに興味はない。だいたい、それをお前が考えることにもはやなんの意味もない。どのみちお前たちは全員ここ
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