二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第24話 五体復活(1)
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るなら、少しでもよいもののほうがいいからな」
手に入れた。
少しでもよいもののほうがいい。
その町長の言葉に嫌な予感がしたシドウは、彼に向けて恐る恐る聞く。
「ということは町長、その骨……ご自身の骨ではないということですか?」
「そのとおりだ。私の足の骨は、もう土に還ってしまっているからな」
自身の足ではない。
ますますの、嫌な予感。
「もしかして、治療所に毎日お見舞いに来ていたのは――」
「そういうことだ。目をつけていた足があってな。もちろん、町の連中の手足が壊死していく様を鑑賞することも重要な目的ではあったが」
「……まさか、町にアンデッドが襲撃していたのも?」
「やっと気づいたのか? 違和感のないようにケガをさせるためだ」
「あなたは……なんということを……」
「最低……」
シドウとティアは、それ以上の言葉がすぐに出てこなかった。
告げられたことは、信じられないくらいの最低最悪な考え、そして行動だった。
「しかし町長。白骨化した足の骨をどうやって接着して使えるようにするのですか。そのようなことは不可能だと思いますが」
アランがそう質問すると、町長はニヤリと笑い、
「こういうことだ。今ここでお見せしよう」
と言って、後ろのローブの男に「では頼む」と声をかけた。
ローブの男は、町長の頭を、両手で後ろから包むように手をかざす。
その瞬間――。
町長の目が光を失い、首がだらりと前方に垂れた。
そして……。
目玉が外れ、膝の上にボトリと落ちた。
前に垂れた頭の頭頂部は、髪が頭皮ごと滑るように溶け落ち、頭蓋骨が剥き出しになった。
左右の耳や鼻、頬の肉なども、液状化したように膝の上に落ちてゆく。
頭も首も、瞬く間に露出していく骨。
左右の手も溶け、車椅子の肘掛けのところから垂れるように地面に落ちていった。膝まであるズボンの先からも、ドロドロと液状化したものが下に流れ落ちてゆく。
着ていた高級そうな衣服は急速に萎み、全身から質感が無くなったように見えた。
「……!」
一同、ここまですでに驚きの連続ではあったが、これが一番の驚きだった。
ほんの一瞬で、町長は車椅子に座ったまま、白骨化したのだ。
フードの人間が、左手に持っていた下腿の骨を、白骨化した町長の膝下に合わせた。そのまま合わせた部分に右手をかざす。
直後、フードの人間が手を離して立ち上がっても、その骨が地面に落ちることはなかった。
そのフードの人間は、初めて口を開いた。
「さて、気分はどうだ?」
町長……いや、かつては町長だったアンデッドに、そう聞いた。
声の低さから、そのフードの者は男のようだ。
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