第一章
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トップアイドル
今巷ではだ。とあるアイドルグループが大人気だった。
「あの娘いいよな、小柄で」
「俺あの背の高い娘好きだよ」
「いや、やっぱりセンターのあの娘だろ」
「違うよ。特撮に出てたあの娘だよ」
「あのドラマで先生役やってた娘もよくないか?」
こうした話がだ。クラスの中で行われていた。それも男子の間だけではない。
女子の間でもだ。このグループの話が行われていた。
「可愛い娘多いだけじゃないわよね」
「そうよね、ステージ衣装もよくない?」
「制服みたいな感じが私達に合ってるわよね」
「学生向きっていうかね」
「私達によく合ってて」
「参考になるわね」
彼女達もそのグループを見ていた。そして応援していた。そのグループはまさに国民的な人気グループだった。だがそれでもだった。
クラスで一人だけはだ。全く興味を示さない。皆がそうした話をしてもだ。
彼だけはただクラスで漫画を読んでいる。その彼を見てだ。
クラスの男子達がだ。こう言ったのだった。
「おい、またかよ」
「御前本当にアイドルとかに興味ないんだな」
「いいのかよ。可愛い娘多いぜ」
「それでもかよ」
「ああ、別にな」
その彼、自分の机でただひたすら漫画を読んでいる片倉剛士は素っ気無く答えた。髪は金髪に近いまでに脱色して上を伸ばして右に流している。黒い眉はやや太く男らしい形をしている。
口元は緩やかに笑っていて少し垂れている目は優しい感じだ。鼻の形もいい。背は高く身体つきも引き締まっている。ぱっと見は中々いい感じだ。
だが彼はひたすら漫画を読みながらだ。クラスメイト達に応えるのだった。
「俺あのグループに興味ないからさ」
「それが不思議なんだよな」
「だよな。何でだよ」
「何で興味ないんだよ」
「タイプの娘いないからさ」
漫画を読み続けながら答える。
「だからさ」
「それでかよ」
「あのグループはどうでもいいのかよ」
「無関心なんだな」
「そうなんだな」
「ああ、本当にどうでもいい感じだな」
そしてだ。今興味があるものはというと。
「だから今はこうして漫画読んでるさ」
「その漫画なあ」
「まあ確かに面白いけれどな」
「けれどそのグループはいいのかよ」
「そう言うんだな」
「今正直タイプの娘がいないんだよ」
彼は言った。再びだ。
「どうしたものかね」
「その辺りにいるだろ?一人位」
「あのグループにはいないってのかよ」
「そうだってのかよ」
「しかも学校にもかよ」
「いないのかよ」
「ああ、いないな」
剛士は残念そうに述べ
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