第3章 リーザス陥落
第96話 悪魔回廊再び
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為、ランスだけではなく 殆ど全員がシィルの方に注目した。
「使者だと? 当然ぼこぼこにしたんだろうな。シィル」
「う………、し、してないです」
無茶な注文、要求をシィルにするランス。勿論シィルがそんな事を出来る訳もなく……。その後やっぱりランスに殴られてしまう。
「ひんひん………。こ、こちらですぅ……」
「ふむ。その手紙の印は確かにヘルマンのもの。……それも、皇族が使うもので間違いないですな」
バレスが一目みてそう説明した。バレスが言う以上間違いはないのだろう。
「ランス。とりあえず シィルちゃんをイジメないで、先に進めてくれ。……このタイミングで使者を使って寄越した手紙とやらが気になる」
「ふん。判っておるわ! おい シィル。さっさと読め」
「は、はい……。えっと『愚かなるリーザス軍と、それに与する者どもに告ぐ』」
と、シィルが言った途端に、ランスからシィルの頭に拳骨が落ちる。……何処かで見た光景。デジャビュを感じた。
「なんだと貴様―――! 誰が愚かだ!! お仕置きしてやる!」
「ひんっ…… ち、違います……そ、そう書いてあるんですぅ……」
頭を抑えながら涙目になるシィル。当然ながら女性陣からブーイングが飛ぶ。
「女の子に手を上げるんじゃないわよ! 馬鹿ランス!」
「やかましい! 知ってるが、意外なほどに腹が立っただけだ!」
「理不尽過ぎるでしょ……」
かなみの非難が飛び ランスの言い分に呆れるマリア。
「なんでシィルちゃんの様な子がランスに惹かれてるんだか………」
「はは……。オレはデジャビュった。確か前にもこんな事あったし。……それに シィルちゃんがこの中で一番ランスと付き合いが長いんだ。……多分、あの子にしか見えない良い所があるんだろうな。それに好いた惚れたは人の自由だろう? ……どう他人が思おうとシィルちゃんはアイツに惹かれてる。誰よりもな」
「…………」
ユーリの言葉を訊いて、志津香は 少し訝しむ様にユーリを見た。
それは
『そういう感性があるのなら、もっと気付くべき点があるのではないか?』
と言う点だ。
もうほんと今更だが、それでも思わざるを得ない。
今までに何度も何度も思ってきては、口に出さなかった事である。
色々と周りに多すぎるから、なかなか口にできない。だからこそ、無言の抗議、或いはプレッシャーをユーリに向けるだけだった。……正直な所暖簾に腕押しが続いているのが実情で 色々と大変だが。
「ぅぅ……つ、続けますぅ」
とりあえず、シィルの朗読が続いた。
ランスはこれ以上は殴る事はせず、ただシィルの声だけがこの部屋の中に響く。
――リーザ
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