ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5-β.あなたの声を響かせたくて
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「あー……あー……全員、執務室に集まって」
業務のすべてがストップし、魅惑と戦慄のピンク色に支配された、混沌と欲望渦巻く時間帯へと突入した鎮守府に、無気力な提督の声による放送が鳴り響いた。
「なんだよこんな時間にー……天龍二世と赤城の姐さんに会いてぇってのによー……」
「球磨は赤城と早く晩ご飯食べたいクマ……」
「私の大切な赤城は体調は大丈夫なんでしょうか……」
「集積地さんにボンビーなすりつけたいのです……」
「それは嫌だけど私も早く電といっしょにゲームやりたい……」
主要メンバーが次々と、不平不満を漏らしながら執務室に集まってくる。一部、聞き捨てならないセリフを吐いている者もいるが……まぁそれは、聞かなかったことにしよう。
私はその様子を、別室で裂きイカを貪り食いながらのぞき見ている。私もあの場にいたら、きっとみんなに迫られて……ドキドキ……いや、言い寄られて、作戦どころではなくなるのではないか……そんな提督のアドバイスを受けてのことだ。
「……」
「コワイカ……」
『……』
そして、天龍二世さんと砲台子鬼さんも、私と一緒にこの別室で佇み、隙間から執務室の様子を伺っている。天龍二世さんは、すでに天龍さんとケッコンし、そしてリコン済みだ。そんな天龍二世さんと天龍さんが同じ部屋にいたら、天龍さんがどうなるか分からない……そんな私の提案を、提督は困惑しながら承諾していた。
砲台子鬼さんは、万が一にも私達が再びピンク色にとらわれないためだ。砲台子鬼さんの砲撃は、不思議と私と天龍二世さんを正気に戻してくれた。ならば一緒にいたほうが、再び私達がピンク色に囚われるのを防いでくれることだろう。
「……あ」
「コワイカ?」
「……提督秘蔵の裂きイカ、なくなっちゃいましたね」
『お腹が空いてるんなら、これ食べてもいいよ』と言われていた裂きイカ5キロだったのだが……知らないうちに食べつくしてしまっていたようだ。そら夕方から食事も取らずに籠城していたわけだから、これぐらいは平らげてしまっても不思議ではない。一航戦の食欲をなめてもらっては困ります。
「……まぁ、大丈夫でしょ。知りませんけど」
ちなみにロドニーさんと青葉さんは来ない。なんでもロドニーさんいわく、青葉さんは自室で実に気持ちよさそうに鼻提灯を膨らましているんだとか。ロドニーさんの不意打ちの一撃がそこまで強烈だったとは……。
ロドニーさんは、そんな青葉さんについているようだ。いくら非常事態といえど、青葉さんを気絶させたのはロドニーさん。ゆえに彼女は、仕方がないとは理解していながらも、このことに責任を感じたようだ。ありがとうございます。恐縮です。
「なんだよ提督ー。こんな夜更けにさー」
「赤城に合わせてほしいクマ
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