暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5-β.あなたの声を響かせたくて
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ど、どうかしたか?」
「いや……今日はずいぶん上品にご飯を食べてるなぁと」

 気になって彼女に問いただしてみたのだが……その途端、彼女は恥ずかしそうにうつむき、口を尖らせて……

「そ、その方が……女らしい……だろう?」

 とよく分からない返答を返してきた。私と視線を合わせず、うつむきがちに話すロドニーさんのほっぺたは……心持ち、赤くなっている気がする……。

「はぁ……」
「それに……少し、食べる量も控えようかと思ってな」
「なぜ?」
「ん……そ、その方が……」
「?」

 『今まで散々私の前でガツガツ食べてきてたのに?』とか『私は女の子っぽくないってことですか?』とか色々と疑問は尽きないが……それはまぁいい。

 それ以上に、さっきから気になっている事がある。この景色、なんとなくだが……どこか心当たりはないだろうか。

「……お、女の子っぽい……だろう?」
「……」
「わ、私は……男っぽいから……」
「……そんなことはないと思いますが?」
「パァァアアアア……ホントか?」

 ……ほら、この感じ。私が彼女のことを肯定した途端に、片思いが成就した小学生女子みたいな、純粋で屈託のない満面の笑みを浮かべる、この雰囲気……

「……でも、そうしたら私は女の子っぽくないってことになりますねぇ」
「そんなことない! アカギはとても……素敵な女性だ……!」

 それにほら、私のことを必死でフォローしようとするこの様子……。

「……アカギは」
「……」
「……アカギは、今までの私の方がいいか? 少食な私は、……嫌いか?」
「そんなことはないですが……」
「そ、そうか! アカギは、私のことは嫌いではないか!!」

 ……極めつけに、私に嫌いかどうか聞いてきて、『嫌いではない』と言われたら、満面の笑みで、全身で嬉しさを表現してくるこの感じ……。

 ……そういえば、昨日の『あなたの声を響かせたくて大作戦』の時、ロドニーさんは青葉さんの看病で席を外していた。まさか……。

 突如、『ガタン』という音が鳴り、ロドニーさんが勢いよく席を立った。右手は力いっぱいに箸を握りしめ、左手はプルプルと震えていた。全身をカタカタと震わせ、ほっぺたを赤く染めた彼女は、うるうるした瞳で、私をジッと見つめていた。

「あ、ぁあ、アカギッ!!」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
「き、今日は……ひ、ひ、暇か!!?」

 まさか……私の胸に緊張が走る。身体中に生ぬるい風がまとわりつき、緊張で、全身が次第に硬直してきた。喉と額に冷や汗が垂れ、生唾を飲むのが精一杯となってしまう私。

「あ、いや……」
「も、もし時間があるなら……ッ!」
「あ、いやその……」
「こ、これから、私と……その……ケッコ……あ、
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