ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5-β.あなたの声を響かせたくて
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く、配膳をしている鳳翔さんの元に向かう。
「鳳翔さん! おはようございます!!」
「ぁあ、おはようございます赤城」
私の挨拶を受け、鳳翔さんは優しい微笑みを浮かべながら、慣れた手つきでお味噌汁をお椀に汲んでくれた。私がそのお味噌汁を受け取ると、そのまま一度厨房に戻り、私専用のお櫃を一つ、運んできてくれる。その笑顔からは、昨日のようなピンクの衝撃は感じられない。
「はい赤城。お櫃です」
「ありがとうございます!!」
「体調は大丈夫ですか?」
「おかげさまで。昨日はご心配をおかけしました」
「いえいえ。大切な弟子ですからね」
うん。余計な意味など篭ってない、純粋な弟子への愛情が篭った言葉だ。鳳翔さんもキチンともとに戻っている。私が大好きな、私の先生の鳳翔さんが戻ってきた。
球磨さんと鳳翔さん。2人の様子を見て安心した私は、窓際の席に一人で座り、食堂の様子を伺う。
「コワイカー!」
「なんだよ今日もゆらゆらしてぇのか? 埃がたつから飯食ってからだなー」
天龍さんと天龍二世さんはいつもどおりだ。そこには新婚夫婦のラブラブな様子もなければ、離婚直後の殺伐さもない。いつもどおりの、極めて普通の2人だ。
「イナズマー。今日はどうする?」
「電は午後から遠征任務があるのです。晩ごはんは先に食べておいてほしいのです」
「分かった。じゃあ帰ってからまたゲームやるか」
「了解なのです」
私の席から少し離れたところにいる電さんと集積地さんもいつもどおりの仲の良さだ。……まぁあの2人は、ケッコンしてようがいてなかろうが、微笑ましい関係は続くだろう。
「今日はどこか開いてる時間ある?」
「お昼過ぎに少し時間が空いてますね」
私の後ろの席には、提督と大淀さんがいる。2人は朝食を食べながら、今日一日のスケジュールの確認をしているようだ。私は無意識のうちに両耳をゾウさんのように広げ、2人の会話を盗み聞きしてしまった。
「んじゃ、そのときに2人で間宮にいこっか」
「他の方を誘わなくてよろしいんですか?」
「うん。……つーかね、ちょっと大淀に話があるのよ」
「はぁ……」
「2人だけで話する機会なんてそうそうないからさ。ちょうどいい」
「?」
おっとこれは急展開。ひょっとすると今日のお昼過ぎ、大淀さんの人生が決まるのかもしれないな……今晩の夕食時、ともするとびっくり報告が2人から上がるのかも……先に心の中で祝福しておこう。お二人とも、末永くお幸せに。
私はダンボのように大きくなった耳を元に戻し、玉子焼きを頬張った。うん。玉子焼きも絶品だし、お味噌汁も素晴らしい。
「素晴らしい朝です。やはり鎮守府は、こうでないと……」
昨日の朝もこんなに素晴らしいはずだった
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