ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5-β.あなたの声を響かせたくて
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ない……サクラバイツキ……なんという恐ろしい男。
……かといって、別に身震いとかはしないけれど。そんなところが、私もあの提督によって、やる気スイッチをオフにされているがゆえなのかもしれない……。
「電たちも帰るのです……」
「帰ってボンビーを電になすりつけなきゃ……でもなんかめんどくさい……」
「奇遇なのです……電ももうめんどくさいのです……」
「イナズマとアカギと3人で、ゲームしながらいちゃいちゃしようと思ってたのに……」
「なんかもう今日は……それすらもめんどくさいのです……」
耳を疑う発言をしながら、電さんと集積地さんも、資材貯蔵庫へと戻っていく。さすがに二人の仲は大丈夫なようだが、あの二人からあんな発言を引き出すとは……このサクラバイツキという男……本当に恐ろしい……。出ていくときの2人、珍しく手すら繋いでないですよ……どれだけヤル気が吸収されたのでしょうか……。
「……さて、これでいいの? 赤城?」
先ほどの面子がすっかりいなくなったことを確認し、提督が別室にいる私たちにそっと告げた。その言葉を受け、私は胸に天龍二世さんを抱いて、頭の上に砲台子鬼さんを乗せたまま、ドアを静かに開き、執務室の提督と大淀さんに合流することにする。
「お見事でした」
「そんなもんかねぇ……」
「いえ、さすがです」
「褒められてもまったくうれしくないんだけど……」
私の言葉を受けた提督は、相も変わらずの死んだ魚の眼差しで自分の席に戻った。それを受けて砲台子鬼さんも私の頭からぴょんと飛び降り、机の上の指定席へと戻っていく。大淀さんが自分の席に戻り、執務室内に見慣れた光景が戻った。今、鎮守府の平和は戻ったのだ……!!
「感慨深そうなところ申し訳ないけど赤城」
「はい?」
「俺もそろそろ疲れたからさ。今日はもう終わりでいい?」
「はい。……ぁあそうそう」
「ん?」
「……裂きイカ、全部いただきました」
「……まぁ、仕方ないよね」
多少は覚悟をしていたのだろうか。さして驚く様子も見せなかった提督と、そんな様子を微笑ましく見つめていた大淀さん、そして守護神の砲台子鬼さんを執務室に残し、私は天龍二世さんを抱いて部屋を後にする。
「いや、天龍二世さん。お疲れ様でした……」
「コワイカ……」
「……これで鎮守府も元に戻りましたし……明日からはいつも通りですね」
今日はつかれた……こんなに疲労感が蓄積したのは、戦争が終わって以来、初めてのことじゃないだろうか。というか、戦闘行為に等しい疲労感が溜まっていることに驚きだ。確かに今日は実にハードな一日だったが、まさか命のやりとりと同等の疲労が溜まっていたとは……
なんだか自覚したら足取りが重くなり、天龍二世さんを抱える両手が、その重
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