ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5-β.あなたの声を響かせたくて
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ー。赤城はどこ行ったクマー?」
「弟子の赤城の無事を! 無事を確認させてくださーい!」
「電も奥様と早く部屋に戻りたいのですー!」
「ぶほっ……い、イナズマ……みんなの前で……やば……鼻血出る……」
執務室に集まったみんなは不満でいっぱいのようだ。やっぱり一部おかしな言動の者がいるが……いや全員おかしいな……それでもちゃんと執務室に集まるあたりは、さすがこの鎮守府のメンバーといえる。みなさん、上官の命令には忠実で素敵ですね。
「みんなを呼んだのは他でもない」
提督がいつもの調子の声でこう切り出し。ついに作戦が開始されたことが伝わった。その名も『あなたの声を響かせたくて大作戦』。この作戦で、みんなが元に戻ることを心から祈る……!
「早く話を終わらせて、赤城に合わせるクマー!!」
「そうでーす! 私の大切な赤城に会わせて下さーい!!」
「早く電たちを二人っきりにさせてほしいのでーす! 電たちは新婚なのでーす!!」
「ぶはっ……い、イナズマ……大胆すぎる……ッ!?」
「そして赤城さんを早く電たちの元に連れてくるのです!!」
「イナズマ……かっこいいぞ……私の夫、イナズマ……!!」
約一名の反応が、さらにおかしなことになってきた気が……
「いい加減にしろ集積地。その醜態は何だ。お前は仮にも深海棲艦の姫クラスだろうが」
戦艦棲姫さんの堪忍袋の尾が切れたようだ。かなり厳しい口調で集積地さんの醜態を諌めている。一歩間違えば、怒気ではなく殺気がこもってそうな声色だ。
だが戦艦棲姫さんがそうであるように、集積地さんもまた、深海棲艦の中でも最強格の姫クラス。つまり集積地さんと戦艦棲姫さんの強さは同格。
「うるさい!! 私は確かに姫クラスの深海棲艦だ!!」
「だったらもう少ししっかりとだな……」
「だがその前に、私はイナズマの伴侶だ!! イナズマの嫁だ!!!」
「お、おう……」
……私はなんだか頭が痛くなってきた。ああまで言い切られると、確かに言われた側としては『おう』としか返事が出来ませんよねぇ……戦艦棲姫さん、ご愁傷さまです。
「集積地さん……じーん……」
「イナズマ……私はお前のものだ……」
「電も集積地さんのものなのです……」
かと思えばひと目もはばからず自分たちだけのワールドを展開し始める二人……。ここまで深く侵食されているとは思わなかった……段々この作戦が本当に効果があるのかわからなくなってきた……。
ええい。状況はすでに始まったのだ。何をするか決めたら、あとは前だけ見て走る。この前漫画で読んだセリフだが、この言葉を信じ、作戦が成功することを信じて見守ろう。私は胸に天龍二世さんを抱いて……頭の上に砲台子鬼さんを乗せて、隣の執務室の状況をジッと見守るこ
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