井上 慶介
第一章 禁じられた領域
第一話 復讐者
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と再会。
そこからまた、親友の関係を続けていた。
だが井上は新聞記者、麻田は極道と住む世界は完全に分かれてしまう。
焼酎を飲む麻田を見て、井上も同じ物を注文する。
少しして差し出された焼酎を少し飲むと、麻田は小さく笑った。
「新聞記者はどうだ?忙しいんじゃないか?」
「別に、俺にとっちゃ新聞記者も道具でしかあらへん」
「道具……?」
「東城会の弱み握って、復讐する為や。その為に、お前に会いに来とるんや」
麻田の顔から、笑みが消える。
「やめないか、もう。俺が東城会の話流したって、何にも変わらないだろ」
表情が変わったのは、井上もだった。
酒のグラスを掴むと、そのまま麻田の顔へとぶちまける。
胸ぐらを掴んだ井上の目は、怒りに満ちた狂気の目だった。
「やかましい!!俺の邪魔する気か!?」
「そうは言ってない!!ただ親友として俺は止めたくて……!!」
揉め事が始まった直後、ガシャンと割れる音が耳に飛び込む。
厳つい顔のマスターが、2人には負けない形相で2人を見つめていた。
「お客様、揉め事なら外で……」
舌打ちを漏らす井上は、ポケットから酒代を取り出し叩きつけるようにしてその場を後にする。
麻田は濡れた顔をハンカチで拭き、苦い顔で出口を見つめた。
「どうやったら伝わるんだよ、井上……」
昔のように戻りたいだけなのに……。
その気持ちが、井上に届く事は無かった。
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