第二章 Lost Heros
この胸には一つの想いを
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るというのか。
そんな物は、私が許されたいだけだ。
今消えゆく彼に、更に自分を許してくれと・・・言われたいだけなのだ・・・・
「私は・・私は・・・・・」
「ありがとう」
が、それでも蒔風の口から出てきたのはこの言葉だった。
「そんな貴女だから、俺は戦ったんだ。俺はあなたの世界で、心からよかったと思う。皆を守れて今、とても感謝している」
「でも・・・でも・・・・」
「なにも出来なかった・・・・ね」
「・・・・はい・・・・」
「近頃そう言う奴がどうにも多いよなぁ・・・・じゃあま、一言だけ言っといてやる」
そうして、蒔風が人差し指を立てながらこちらに振り向き、励ますようにアリスに言った。
「人の価値は、何ができないか、じゃない。何ができるか、だ。成績表にできないこと書いて行く者はない。テストは正解点を数える。出来ないことを嘆かないでくれ。出来ると言う事を誇りに持ってくれ」
「ぁ・・・ぅ・・・・」
「貴女は俺を救ってくれた。皆を救う、力をくれた。こんな歪んだ俺でも、皆を守って、胸を張って生きてこれた。だから・・・十分だ」
そうして、蒔風が踵を返して、歩いて行く。
その歩く先には、今沈もうとしている、綺麗な夕日が、煌々と光りながらそこにあった。
------------------------------------------------------------
蒔風が振り返らず、歩きながら右手を軽く上げてから振って、別れを告げる。
最初に左腕が、光の中に溶けるように消えた。
次に、右足が粒子に流れながらなくなる。
しかし蒔風の身体は崩れることなく、そのまま歩みを進めていた。
そして、左足が透けていき、粒子を噴いてパァ・・・と消えた。
身体が順番に、ゆっくりと、うっすらと消えていく。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ