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ストライカーの重み
第二章
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 抱きしめられるのもただ受けているだけだ。そうしているだけだった。
 彼は英雄になった。ドイツの英雄にだ。英雄はこのシュートについて語ることはなかった。
 やがて引退の時を迎えた。彼はその記者会見の時にこう言った。
 もうユニフォームではない。スーツを着ている。
 そのスーツ姿でだ。こう言ったのである。
「ほっとしている」
「えっ、ほっとですか?」
「そうなんですか?」
「ああ、本当にほっとしている」
 心から付きものが落ちた顔でだ。こう言ったのである。
「今はな」
「引退されてもですか」
「そうなのですか」
「悲しいとかはないんですか?」
「特に」
「悲しいか」
 その質問にだ。クラウスはというと。122
 顔を引き締めさせてだ。この言葉で答えたのだ。
「そうだな。悲しいというよりかな」
「それよりも?」
「それよりもですか」
「そうだ。ほっとしている」
 またこの言葉を出したのだった。
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