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世界をめぐる、銀白の翼
第二章 Lost Heros
終末への戦い〜立ち上がる者〜
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だ」




そう、蒔風が目覚めたのは、なにより彼を求めるその声だった。


100%"no Name"であった世界。
そこにいた彼女らは、どの管理者からの干渉も受けずに動くことができた。


しかし、彼女らには何もできない。
戦う事など、できないのだ。



だから、彼に頼るしかなかった。



自分たちと同じように"no Name"出身で、それでいて戦える彼に。





彼女たちも、そうはしたくなかった。


こんなにも疲弊し、いまだに眠り続けていた彼を、また戦いに駆り出すことなどできない。



最初こそ彼の元まで走った彼女らは、彼を目の前にしてなにも声が出なくなった。





この方法を思いつきはした。
しかし、実際に彼を目の前にして、そんなこと言えるはずもなかったのだ。



だが、それでも蒔風は「言った」という。


言葉にできなかったそれを、聞いたといのだ。





しかしそれも当然だ。


彼は「銀白の翼人」
たとえ眠っていても感じとり、口に出さなくても分かったからだ。


それほどに大きな「願い」だったからだ。









た・す・け・て








たったその四文字に込められた、シンプルな大きな願い。



それを見逃せるはずはあろうか。





言葉にできなかったその「願い」は、出さなかったからこそ押し込まれ、そして強大な力として彼を呼び醒ましたのだった。




だが





「しょうもねーな・・・こんな体じゃあ・・・勝てもしない・・・」

「私が・・・私が・・・!!!」

「やめとけアリス・・・四人の攻撃に逃げ惑って、あんたは戦える状態じゃない。ここは・・・」



ぐっ・・・ググッ・・・・・




「この世界の・・・主人公に・・・・任せてくれや・・・・」




彼が立ち上がる。




そう、それは騎士のようであった。





後ろ(せなか)に居るのは、アリスだけではない。


彼の背中に背負われているのは、この世界だった。




事実、一度は背負ったのだ。



彼は、それを守らねばならない。





心が摩耗した

身体がボロボロ

片腕がない

敵が強大

仲間はやられて動けない



















関係などあるものか



















守りたいものがある

敵がいる
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