第二章 Lost Heros
終結→破滅
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彼の手には確かな手応えがあった。
確かに彼の剣には血液が付着しており、その手には斬ったという確かな感触が残っている。
そうして一瞬目を閉じた後に、自分が切った後を振り返ってみた。
その瞬間
ボフッ!!!ブワァァアァ・・・・・
「!?ブッ・・・これは・・・・!?」
突如、クラウドの視界を一気に深紅が覆い尽くし、彼自身を覆い尽くした。
それは真っ赤な霧だった。
全身をジットリと濡らし、気持ち悪く張り付いて、即座に乾いてくる。
そして、それは存分に鉄の匂いを含んでおり、彼の鼻を衝く。
「まさ・・・・ガッ!?・・」
「ふぉあり(おわり)・・・・だ・・・・ぁ・・・・・」
クラウドの喉を潰したような声と、蒔風のくぐもった声が聞こえてきた。
否、「ような」ではない。
その赤い霧の中、蒔風がクラウドのの喉笛に喰らい付き、ブチブチと引きちぎっていた。
更にはその頭部に右腕を押し当て、噛みつきながら首の骨をも砕く。
確かに、蒔風に対して刃は通っていた。
しかしそれは、彼の「一部分」のみだったが。
そして、肉食獣が獲物をしとめるかのように蒔風はクラウドを仕留めていた。
が、そこで倒れるようなクラウドでもなかった。
翼人はこれでは倒れられない。
しかし、蒔風はクラウドに抱きつき身体を捻った。
即座にクラウドの腰からゴキボキと重い音が鳴り、背骨が砕けた。
その捻りで肋骨が内臓を傷つけ、吐血するクラウド。
二人が地面に落ちる。
が、更に蒔風は有らん限りの力で、まるで全身の血を絞り取るかのようにクラウドを締め上げた。
クラウドは抵抗するものの、血が一気に失われ、意識が薄れ、そして――――――――
ドンッ!!!!
消えた。
・・・・
蒔風が残った唯一の腕で、そのカードを拾い上げる。
「一級の暗殺者・・・ね・・・・」
フゥ・・・・・・
「そんな奴、この世に存在するはずねぇだろ」
彼に、左腕は無かった。
上空の霧はすでに落ち、地面をドス黒く染め上げている。
それは全て、つい一分前までは彼の左腕だったものだ。
「はァ・・・は・・はは・・・まあー・・・終
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