第一章
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「俺達にはクラウスがいるんだ」
「ドイツにはあいつがいるんだ」
「確かにイングランドは強いがな」
「だがそれでもな」
「あいつが絶対にやってくれる」
「最後は決めてくれるさ」
こう言ってだ。彼等はその期待をクラウスにかけていた。まさに彼はドイツ中の期待を背負っていたのである。
だがイングランドも強い。伝統が強さになっていると言っていい。ドイツも強いが彼等も強い、それでだった。
試合はPKにまで持ち込まれた。それでだ。
一人ずつゴールに蹴っていく。ドイツもイングランドも得点を決めていくが。
コイントスにより先行となっているイングランドは四点、ドイツも四点入れて最後のPKになった。その場においてだった。
先行のイングランドの選手が蹴った。だがそれは。
ドイツのキーパーの渾身のパンチングで防いだ。それでだ。
弾かれたボールが前に転がるのを見てドイツ国民は安堵しイングランド国民は落胆した。次の攻撃で決まるかも知れない。
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