第二章 Lost Heros
銀白VS英雄王
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と、そこでついに蒔風が地面を転がった。
回避しきれなかった剣を、畳返しで壁にしたもののその勢いに吹き飛ばされたのだ。
そこに降り注ぐいくつもの剣。
地面を独楽のように回りながらもそれを弾き回避して行く蒔風だが、いかんせん数が多すぎる。
五体が刻まれ、血が噴き出す。
そうして右の腿と肩に剣が突き刺さり、更には左手の甲を剣が貫いて地面に縫いつけた。
「ぐぅゥゥゥウウウウウウウウウウウ・・・・!!!!!??」
「ふん。最初からそうして、雑種らしく地べたを這っていればよかったのだ」
そう言って、ギルガメッシュが後方から彼の「担う」一本の剣を引き抜いた。
乖離剣「エア」
その名はただ単に彼がそう付けて呼んでいるだけの、無銘の剣。
しかし、この剣の回転は時空を裂き、その威力はかのエクスカリバーを相殺してなお相手を粉砕しうるというもの。
この局面で彼がそれを出してきたという事は・・・・・
「終わらせようか。貴様自身は払えば消える芥同然のチリではあるが、その翼は我の蔵にもないものだ。しかし手に入らぬならば、それ相応の光で消し去ってくれよう。すまないな乖離剣。余計なものがついてはいるが、それもあの雑種が悪い」
ギィィィィィィィ・・・・と、乖離剣が回転を始めてその腕が振りあげられる。
すでに魔力は充填され、あとは振り下ろすだけで蒔風はこの場から消え去るだろう。
「・・・・・・は、ははは!!あははははははは!!!」
「む?」
「ちゃんちゃら可笑しいぜギルガメッシュ・・・雑種?ははは・・・・傑作だ!」
しかし、左手を地面に刺し止められ、右の肩と腿に剣を突き刺しっぱなしにしながらも、蒔風はおかしそうに笑っていた。
その目に死の恐怖はない。ただ「痛いなぁ」という感情しかないのだ。
蒔風のその姿を見て、ギルガメッシュは今まで感じたことのないモノを感じた。
それは恐怖か?
自らの「知り得ぬ存在」のこの人物が怖いのか?
そんなことはない。
理解の及ばない相手とは今までだって遭遇してきたし、彼はそのすべてを粉砕してきた。
それは畏怖か?
死を超えてしまったこの男に、そんな感情を覚えたのか?
そんなことはない。
自分は王だ。自分が一番だと言うのに、そんな感情は芽生えない。
それは拒絶か?
すべてを理解し、そして何者にも属さないこの男を拒んだのか?
そんなことはない。
拒むようなものは殲滅してきた。許すべきは自らが望んだ者だけだ。
だったらこの感覚はなんなのか。
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