ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4-β.キミだけのヤル気スイッチ
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私たちが籠城を始めてから、すでに3時間が経過している。その間私達は、執務室の扉に鍵をかけ、何人も中に入れなかった。
……そして、まるでそんな私たちを狩りの対象としているかのように、このピンク色の瘴気にあてられた艦娘のみんなが、この執務室に次々と訪れていた……
『とんとん。提督ー? 帰ってきたクマ?』
「……ッ!?」
ほら。今度は球磨さんがやってきた。私たちは扉から距離を離し、私は弓を構え、砲台子鬼さんはすぐに砲撃できるようにその砲塔をドアに向ける。万が一にも侵入を許さないために。
『いるクマ? いたら返事してほしいクマ』
「て、提督はまだお帰りになってません! お、お留守でーす!!」
『赤城はまだ執務室にこもってるクマ?』
「は、はい! 提督から頼まれた仕事が結構ありまして!!」
ドア一枚を隔てたその向こう側には今、ピンク色の球磨さんがいる。執務室の頑丈なはずのドアに対し、こんなにも『頼りない』という気持ちを抱いたのは、今日が初めてだ……。
『赤城の様子がおかしいってみんな心配してるクマ』
「そ、そんなことありませんよ? げ、元気いっぱいです!! ほら、げんきー!!!」
『……でも、晩御飯を食べてないクマ』
「い、忙しいんです! 提督から頼まれた仕事がてんこ盛りで……」
『でも赤城が来てくれないと、球磨はさみしいクマ……』
待ってください……待ってください待ってください!! そんなことを妙にしんみりした口調で言わないでください!!!
『提督から頼まれたお仕事が大変なら、球磨も手伝うクマ。入っていいクマ?』
心臓が口から飛び出るのではないかと思うほどの衝撃が、私の胸を駆け巡る。まずいまずいまずい……ッ!!
「だ、大丈夫でーす! 私一人で、なんとかできますから!!」
『……赤城は……球磨のことが嫌いクマ?』
いやいやいやいやそんなどう答えても敗北確定な質問はやめてくださいうまくかわせないから!!
「い、いや決してそんなことはないですよ! 私は球磨さん好きですよ? でも……」
『パァァァァ……ほんとクマ?』
お願いですから、そんな片思いが成就した女の子みたいな反応はやめてください球磨さんっ!!
「で、ですから! 球磨さんは行ってください! お仕事が全部片付いたらご飯食べに行きますから!!」
『了解したクマ! じゃあ赤城がお仕事終わるまで、球磨は食堂で待ってるクマ!!』
「大丈夫ですから! 先に食べてて大丈夫ですから!!」
『そうクマ?』
「はい! だから球磨さんも、早くご飯を食べてしまってください!!」
『そうクマねぇ……じゃあ、明日は二人きりで晩ごはん食べるクマ!』
んー……! それも微妙だけど……今はこの場を切り抜けるのが先
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