暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4-β.キミだけのヤル気スイッチ
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んだ声。この声は……!

「……提督ですか!?」
『そうよー? ……とりあえず……開けてくれる?』
「はい! ただいまドアを開けます!!」

 提督が帰ってきた……提督が帰ってきてくれた!! やっとこの地獄のようなエクストリームマリッジピンク鎮守府から開放される!! 私は、待ちに待った提督の帰還に、今までにないほどの安堵の感情を胸に抱いた。まさか提督のこの声色に、涙が出るほどの安心を感じる日が来ようとは……

 私は構えた弓を投げ捨て、今も施錠されたままのドアへと駆け寄り、そして鍵を解錠しようとした。しかしその次の瞬間。

『……!!!』(ぱちん)
「あだッ!?」
『おーいどうしたの? しらんけど』

 鍵を開けようとした私の後頭部に走る、BB弾の痛み。慌てて振り返ると、砲台子鬼さんが、私に……というよりも、ドアに向かってぱちんぱちんとBB弾を発射している。一体どうしたというのか。あれだけ互いを信頼しあっているはずの提督に対し、BB弾射撃を敢行するなど……

「砲台子鬼さん! 一体どうしたというのですか!?」
『……!! ……!!!』(ぱちんぱちん)
「提督ですよ? 提督が帰還したんですよ? 一体何が不満なのですか!?」

 私はこの時、この意味をもっと深く考えるべきだった。砲台子鬼さんが、ドアの向こうにいる、深く信頼しているはずの提督に対し、BB弾を発射している……この事実が一体何を意味するのかを、もっと深く考えるべきだった。

 しかし、心が疲弊していた私には、そんなことを考える余裕がなかった。度重なる求愛を受け、ハラヘリ具合が限界を迎えていた私の身体と精神は、すでに悲鳴をあげていたのだ。これ以上、負荷をかければ壊れてしまう……早くご飯を食べないと死んでしまう……そのような追い込まれた状況の私に、砲台子鬼さんの砲撃の意味を考察できる精神的余裕なぞ、すでに残されていなかったのだ。

『おーい……赤城ー』
「は、はい提督!」
『大丈夫?……しらんけど』
「は、はい大丈夫です!」
『あらそお?……あら怖い……しらんけど』
「と、とにかく提督、今開けます!!」
『うんお願い……しらんけど……開けて……しらんけど』

 いつになく頻繁に『しらんけど』を繰り返す提督の違和感には目もくれず、私はドアの鍵を開いた。ガチャリという音がなり、ドアの施錠が開いたことを大げさに告げる。

『……!! ……!!! ……!?』(ぱちんぽすん……)

 ゴウンゴウンという音を立て、厳かに開くドア。砲台子鬼さんはBB弾の球切れを起こしたようで、さっきからぱすんぱすんという音は聞こえるが、肝心のBB弾が射出されていない。

『ありがと……赤城……しらんけど』

 未だ半開きのドアの向こうから、提督がねぎらいの
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