暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4-β.キミだけのヤル気スイッチ
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とんとん。……なぁ。赤城の姐さん』
「て、て、天龍さん!?」
『……ひょっとしてそこに、二世はいるか?』
「コワイカッ……!?」
「い、いません!! 二世さんはここにはいませんよー!!」
『そっか……いないか……なぁ、姐さん』
「は、はいッ!」
『あいつは……もう、俺の元に帰ってきてくれないんじゃないか……なんか、そんな気がするぜ……』
「ソ、そんなこと……そんなことないでーす! きっと戻ってきますから!!」
『そうかなぁ……うう……ひぐっ……会いてぇなぁ……大好きな天龍二世……抱きしめてぇなぁ……』
「こ、コワイカァアアアアッ!!?」
「戻ってきます! 戻ってきますから!!」
『ひぐっ……フッ……姐さん、やめてくれよ』
「へ?」
『俺は今、リコンで弱りきってるんだぜ? 今そんな優しい言葉をかけられたら……姐さんのこと、好きになっちまう……』
「まさかの相談に乗ってたら惚れられたケェエエスッ!?」

 天龍さんも、例外なくフォールダウンしていた。ピンク色の空間の中で、一人でポツンと元夫の帰りを待ちわび、そして慰めてくれる人を求めていた。

 皆が……皆がピンク色に染まっていた。球磨さんも、鳳翔さんも、電さんと集積地さんも……皆が、頭の中がまっピンクに染まっていた。そして、籠城する私達をその毒牙にかけんと、この執務室へと足を運び、私たちを甘言で惑わせ、そして仲間にとり込もうとしていた。

 そして私達は、この異常事態に対処するため、常に緊迫した空気の中にいた。気持ちを休める暇などない。常に張り詰めた精神テンションを保ち、執務室入り口から足音が聞こえる度……ドアがノックされる度、ドアの向こうから甘い声が聞こえる度……弓を構え砲塔を構え、臨戦態勢を取っていた。

 砲台子鬼さんの能力に賭け、来訪した艦娘を執務室に招き入れて、砲台子鬼さんに正気に戻してもらうことも考えた。

 ……だが。

―― 一緒のおふとんで寝るクマぁ

―― ひ、膝枕してあげても……いいですし

―― 赤城さんと三人で、べたべたいちゃいちゃしたいのです

――姐さんのこと、好きになっちまう……

 こんなことを言うみんなを、執務室に招き入れる気にはどうしてもなれなかった。あともう少しの勇気があれば可能なのだが……なんだか、ドアを開けた瞬間、皆に貞操を奪われてしまうような……そう考えるとどうしても、ドアノブをひねり、ドアを開けることができなかったのだ……。

 そうして、私たちが籠城を初めて3時間ほど経過した頃……時計の針は、すでに夜の9時を指していた。私たちの体力と精神力、そして私のハラヘリ具合が限界に近づきつつあった中、ついに……

『とんとん。おーい。赤城ー?』

 ドアのノックと共に聞こえる、あの無気力で死
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