ケッコン協奏曲 〜赤城〜
4-β.キミだけのヤル気スイッチ
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とんとん。……なぁ。赤城の姐さん』
「て、て、天龍さん!?」
『……ひょっとしてそこに、二世はいるか?』
「コワイカッ……!?」
「い、いません!! 二世さんはここにはいませんよー!!」
『そっか……いないか……なぁ、姐さん』
「は、はいッ!」
『あいつは……もう、俺の元に帰ってきてくれないんじゃないか……なんか、そんな気がするぜ……』
「ソ、そんなこと……そんなことないでーす! きっと戻ってきますから!!」
『そうかなぁ……うう……ひぐっ……会いてぇなぁ……大好きな天龍二世……抱きしめてぇなぁ……』
「こ、コワイカァアアアアッ!!?」
「戻ってきます! 戻ってきますから!!」
『ひぐっ……フッ……姐さん、やめてくれよ』
「へ?」
『俺は今、リコンで弱りきってるんだぜ? 今そんな優しい言葉をかけられたら……姐さんのこと、好きになっちまう……』
「まさかの相談に乗ってたら惚れられたケェエエスッ!?」
天龍さんも、例外なくフォールダウンしていた。ピンク色の空間の中で、一人でポツンと元夫の帰りを待ちわび、そして慰めてくれる人を求めていた。
皆が……皆がピンク色に染まっていた。球磨さんも、鳳翔さんも、電さんと集積地さんも……皆が、頭の中がまっピンクに染まっていた。そして、籠城する私達をその毒牙にかけんと、この執務室へと足を運び、私たちを甘言で惑わせ、そして仲間にとり込もうとしていた。
そして私達は、この異常事態に対処するため、常に緊迫した空気の中にいた。気持ちを休める暇などない。常に張り詰めた精神テンションを保ち、執務室入り口から足音が聞こえる度……ドアがノックされる度、ドアの向こうから甘い声が聞こえる度……弓を構え砲塔を構え、臨戦態勢を取っていた。
砲台子鬼さんの能力に賭け、来訪した艦娘を執務室に招き入れて、砲台子鬼さんに正気に戻してもらうことも考えた。
……だが。
―― 一緒のおふとんで寝るクマぁ
―― ひ、膝枕してあげても……いいですし
―― 赤城さんと三人で、べたべたいちゃいちゃしたいのです
――姐さんのこと、好きになっちまう……
こんなことを言うみんなを、執務室に招き入れる気にはどうしてもなれなかった。あともう少しの勇気があれば可能なのだが……なんだか、ドアを開けた瞬間、皆に貞操を奪われてしまうような……そう考えるとどうしても、ドアノブをひねり、ドアを開けることができなかったのだ……。
そうして、私たちが籠城を初めて3時間ほど経過した頃……時計の針は、すでに夜の9時を指していた。私たちの体力と精神力、そして私のハラヘリ具合が限界に近づきつつあった中、ついに……
『とんとん。おーい。赤城ー?』
ドアのノックと共に聞こえる、あの無気力で死
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ