第7章 聖戦
第164話 虚無と五路侵攻
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の本土に攻め寄せて、政府の中心を落とす事が出来るかと言うと、それは最初から難しい事が分かっていたはず。
多分、この部分に関しても俺の持っていない情報があるのでしょう。そして、その情報の中に――
――重要な物がある。そう考え掛けた俺。その頬に触れる少し冷たい指先。
そして、やや強引な感じで左側を向かされる俺。
もっとも無理にと言っても、それほど力を籠めて居るとも思えない……おそらく、労働と言う類の行為には一切向いていない華奢な手。その手に因り向かされた方向には、銀のハーフリムを装備していない、普段よりも少し幼い雰囲気の湖の乙女の容貌が存在していた。
そう、真っ当な生命体ならば考えられない左右対称のその容貌からは一切の生活感、俗臭の如き物を感じさせる事はなく、更に成長する事によって埋められるべき余白……彼女の体格やその他から想像出来る、思春期半ばと思われる少女特有の幼さを感じさせる事もない。
何と言うか、まるで産まれ落ちた瞬間から今、この瞬間まで彼女はこの姿形であったのではないのだろうか。そう感じさせるほどの妙に完成されたイメージ、しかし、一方で年相応の儚さや脆さを感じさせる少女。
澄んだ湖の如き、深く少し潤んだ瞳。その瞳を覗き込んだ瞬間、何故か彼女が小さく首肯いて見せる。
身長差から言って、彼女が少し腰を浮かせた状態。おそらく膝立ちなのは間違いない。
そうして瞳を閉じた彼女の方から少しずつ二人の間の距離を縮めて来る。
感じる彼女の吐息。彼女の意図が分からず、やや困惑気味の俺。
俺の蒼い前髪が彼女の額に。そして、少し硬い印象のある彼女の紫の髪の毛が俺の狭い額に触れ――
「な、何をしているのよ!」
崇拝される者の少し驚いたような声が響くのと、俺と湖の乙女の額が触れ合うのと、どちらの方が早かったのか、その辺りは定かではない。しかし、その声が俺の耳に届くのと額同士が触れあった感覚。そして、向こうの世界の長門有希と同じ香りを強く感じた――
その刹那!
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