第7章 聖戦
第164話 虚無と五路侵攻
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ぐらいは、並みの貴族ならば知っているはず。其処に正体不明、蒼髪でタバサなどと言う明らかな偽名を名乗る留学生が現われる。普通に考えるのなら、ある程度の警戒をするのが真面な貴族の子弟の反応だと思うのだが。
他国とは言え、王位を争い敗れた家の娘と関わっても良い事はない。むしろ、何か悪意や野望のような物を隠して彼女に近付いているのではないか。周囲からそう邪推される可能性の方が高いでしょう。この行為は。
李下に冠を正さず。そう言う言葉がある事を、貴族は産まれた時から知っている物だと思うのだが。
確かに彼女、キュルケの表面上に現われている性格なら、そんな細かい部分に拘る事もないように思えるのだが……。
非常に長い現状の予想を口にし終わる俺。おそらく、今度のはかなり良い線を突いている……はず。
もっとも――
こりゃ、今回の人生のゲルマニアは、前世のあの国とはまったく別物の国だと考えた方が妥当だな。
……などと少し軽い感じで心の中でのみ考えた瞬間、何かの引っ掛かり……違和感を覚える俺。
違和感。そう、それは――
そもそも、ゲルマニアは何の為にこのような面倒な真似をしたのだ? ……と言う疑問。
黙って居てもトリステインは自分たちの物となる。確かに、ガリアに妙な王太子が現われる事に因って、アンリエッタの対外的な売値は上がったと思う。しかし、それは思う、……俺がそう考えただけであって、未だ具体的な行動が起きていた訳ではない。
トリステインの北部に侵攻する。但し、それはトリステインとの同盟を一方的に破棄する事に因って初めて成就する事態。ここにゲルマニアの益はない。
確かに旧教を国教として定めている国に取って異教徒の――新教を信じる国との約束など守るに値しない物の可能性はあるが、それでもゲルマニアは、国と国との約束すら守る事の出来ない野蛮な国だと以後認識される可能性が高過ぎる為に、これは本来ならば愚策と言うべき行為のはず。
「現在、トリステインの王位にはルイズ・フランソワーズが就いている」
元々、アンリエッタが女王に就いた時、王位継承権一位にルイズが選ばれていた。
現代に現われた伝説の魔法使い。始祖ブリミルが操ったとされる伝説の魔法虚無を操る救国の英雄。元々、公爵家の子女であるルイズには王位継承権が存在して居り、ここに大きな問題はなかった。
俺の長広舌を、普段通りに黙って聞いて居た少女たち。その少女たちの内、右側に座る少女が、まるで俺が考えている事が分かったかのように説明を行う。
トリステインの王位継承権第一位? あのルイズが?
「あの降臨祭の夜に、トリステイン軍に因り虚無魔法を操る一兵士。人間兵器として使役されて居た所を、同じ虚無魔法を操るアルビオンのティファ
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