第7章 聖戦
第164話 虚無と五路侵攻
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襲われ、少なくない物資を奪われて居た事は報告されていた。
この辺りも、前面の戦力は最初に投入した六万でやり繰り出来たとしても、その兵が消費する物資を現地で調達しようにも、その調達すべき物資を持っているはずの街や村がことごとくアルビオン軍の手に因って焼かれていたとするのなら、トリステイン本国からの物資の輸送に頼るしかないのは仕方がない。
但し、その輸送は当然、アルビオン軍に狙われる事となるので……。
おそらく優勢なトリステイン空軍……と言うか、海軍と表現すべきか、その辺りは微妙な処だとは思うけど、その優勢なトリステイン軍に対してアルビオン軍は通商破壊を目的とした私掠船免状を大量に発行したのだと思われる。
この辺りが、俺が地球世界に追放される以前に知っていた内容で、トリステインが戦争に負ける理由として妥当な部分を繋ぎ合わせた推測。
そして、ここから先が前世の記憶や、此方に戻って来てから手に入れた情報。
先ず、トリステインにとっての切り札、虚無がアルビオンにも存在していた。
更にもうひとつの切り札。零戦も、ゲルマニアには戦車や戦闘機、更に爆撃機まで存在して居た以上、同じような物が他国。アルビオンやロマリアにも存在する可能性がある。実際、今の感覚ならアルビオン軍がエンフィールドで武装した歩兵やクロムウェルで陸軍を形成、その上空をスピットファイアやモスキートが飛び交う、などと言う状況に成っていたとしても何も驚く事はない……と思う。
おそらくアルビオンとトリステインの差は――
孫子が言うトコロの、算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るをいわんや算なきに於いておや。……と言う状況だと思う。
要は準備や計画をしっかりとして置いた方が戦は勝つ。そう言う事。少なくとも暴走する世論に押されるような形で戦争を始めたトリステインが戦争に勝てる道理はなかった。
それに、どうやらその暴走する世論。貴族たちのアルビオン討つべし、と言う強い声が、実際はゲルマニアの策謀だった可能性が高い――
……キュルケの役割がゲルマニアのトリステイン貴族に対する浸透が目的だったと考えると、彼女の行動や、彼女の周囲に発生して居た悪い気の澱みにも理解が出来る。要は、あの時、俺が感じて居たのは恋愛関係に端を発する陰気などではなく、トリステインと言う国家に対する反逆に関係する陰気だった、と言う事。
元々、特徴的な蒼髪で有名なガリア王家。……俺が知る限り、このハルケギニアの人間で蒼い髪の毛を持つ人間はガリア王家所縁の人間しかいなかった。その蒼い髪の毛を隠そうともしていなかったタバサに対して警戒する事もなく近寄って来ていたのはキュルケだけ。
現ガリア王家とオルレアン大公家との王位を巡る争いの結末
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