第7章 聖戦
第164話 虚無と五路侵攻
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自体が負け戦だったようなのだが、彼女はハルケギニアの民族的英雄ブリミルが行使したと言われている虚無の魔法を操る術者。
……まぁ、俺自身はこの辺りについても大きな疑問を抱いているのだが、俺の意見よりもここはハルケギニア的な常識に囚われた推測を進めるにして。
それで、その虚無を操る術者と言うのは雨後の筍の如く、何度も何度もこの世界の歴史上で現われては消えて行った存在ではない。少なくともここ百年の間に現われた例は無さそうな気配が強い。
ここから考えると、余程の乱戦状態とならない限り、ルイズが戦場で死亡すると言う結果は出来上がらないと思う。最悪でもアルビオン軍で高貴な捕虜として扱われているでしょう。
そして、表向きはどうか分からないが、このハルケギニア世界の裏側には個人の精神を操る魔法と言う物は存在するようなので、例えルイズ個人の意志がどうであろうと。例えば最初は反抗的な態度を取って居ようとも、精神さえ支配して仕舞えばアルビオン……の後ろ側に居るのがほぼ確実なロマリアの思い通りに彼女を動かす事は可能だと思う。
そこまで考えを口にする俺。
そして――
正面に座る少女。左からダンダリオン、イザベラ、そして最後にティターニアの顔を順番に見つめた。
何となく口頭試問を受けているような気分。但し、イザベラにしても、ダンダリオンにしても否定的な気を発している訳ではない。
ならば問題はない。そう判断をして――
確か、開戦時にキュルケに話したようにトリステインがアルビオン相手に戦争を吹っ掛けて勝てる要素があるとするなら、それは虚無の魔法と零戦の二つの要素しかなかった。
……と思う。
総兵力では自国内にトリステインを誘引した挙句に焦土作戦を挑んだアルビオンの方が上。まして、街や村を味方であるはずのアルビオン軍によって焼かれた住民の多くが敵軍……侵略者であるはずのトリステイン軍に助けを求めて、その住民たちの食糧もトリステイン軍が面倒を見て居たらしいので、元々国力に余裕のないトリステインの状況を悪くして居たのも事実。
もっとも、そうかと言って、このアルビオンとの戦争はトリステインの正統性を主張する為に始めた戦争。正式な宣戦布告もなく……はっきりと言えばだまし討ちに等しい形で一方的に開始された戦争だけに、卑怯な事をしたアルビオン軍と同じように真冬の寒空の下、餓えた民衆を見捨てて仕舞うと、そのトリステインの主張する自分たちの正しさを、自分たちの行いで完全に否定して仕舞う事となる。
そもそも、トリステインの裏側の目的は領土欲。ならば、ここで頼って来た未来の国民を蔑ろに出来る訳はない。
そう考えると、この部分で前線のトリステイン軍の判断や行動を責める訳には行かない。
また伸び切った補給線をアルビオンの空軍に
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