第7章 聖戦
第164話 虚無と五路侵攻
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「五十点」
しかしその時、春の陽気に支配された室内には相応しくない、かなり冷たい声が響く。
声から受けるイメージはかなり幼い感じか。所謂舌足らずな声、……と表現される声だと思う。確かにこの場に居る連中の見た目の平均年齢は十代半ば。つまり全員、見た目や声は幼いと言えるのだが、その中でも一番幼いように感じられる。
もっとも、精霊に対して見た目の年齢がイコール、その精霊が誕生してから今まで過ごして来た時間か、と問い掛けると否と答が返って来るのが常だし、タバサや……おそらくイザベラなどの転生者も、見た目よりもずっと精神的に成熟しているのは当たり前。
まして、ソロモン七十二の魔将に関しても当然……。
「そもそも、何故、早急に答えを出そうとするのですか、おまえは」
人の話は最後まで聞くようにと、あれほど教えたと言うのに。
あの素直だったシノブは一体、何処に行って仕舞ったのやら。まるでそう言いたげな雰囲気を発するダンダリオン。
もっとも、そりゃ、アンタが育てたのなら、俺がへそ曲がりに育った原因はアンタの育て方に問題があったからでしょうが。そう心の中でのみ悪態を吐く俺。
ただ……。
ただ、何故かダンダリオンの感情に対して妙に肯定的な雰囲気を発するタバサと……湖の乙女。確かにタバサの方は前世の記憶がどの程度まで蘇えって居るのかによっては、幼い……素直だった頃の俺を知っていたとしても不思議でもないのですが……。
しかし、湖の乙女の前世が長門有希であったとしても、彼女は幼い頃の俺の事を知らないはずなのでは……。
「大体、トリステインがアルビオンとの戦いに敗れた事が推測出来たのなら、其処から更に一歩進めてトリステインの虚無がどうなったのか、についても疑問を持つべきなのです」
シノブの予測では、トリステインが何故、アルビオンとの戦争に敗れたのかの部分についても問題があるのですよ。
少し諭すかのような。幼い子供に対して噛んで含めるかのようなダンダリオンの言葉。何と言うかこの瞬間だけは、まるで二年ほど時間が溯ったかのように感じるのだが……。
ただ――
ただ、なるほど。トリステインの虚無……つまり、ルイズがどうなったのか、についてか。
ダンダリオンの言葉に、それまで明後日の方向にズレ掛かって居た思考が急制動。それに有希が幼い頃の俺の事を知っていたとしても――アンドバリの指輪を今の彼女が持っていたのだから、その事については不思議でも何でもないと気付いたので問題ない、と思い込み。
それならば、ルイズの現状については……。
先ず、大前提としてルイズの生命に危機が訪れている可能性はゼロだと思う。確かに、彼女が赴いていたのは戦場の最前線。更に言うと、その戦争
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