二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第22話 暗殺
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の頭をポンと叩いた。
「それが秘密兵器か? 十六歳で上級冒険者とは聞いているが、所詮ガキだろう。こちらは五人全員が上級相当の力がある。問題ない」
「なるほど。シドウくん、今の反応で決まりですね。この人たちはシドウくんの正体を知らないようです。では、彼らの腰を抜けさせるような感じでいきましょうか」
「あ、そういうことですか。それでこの場所を選んだんですね。わかりました」
「あら。わたしはどうしよう?」
「ティアさんは右手だけ使いましょう。気絶させる役ですね。私は縛る役をやります。……ではシドウくん、お願いしますね」
「はい。行きます」
シドウが荷物袋を後ろに放り投げ、ゆっくり前に出ていく。
「フン、何舐めたことを言って――」
中央の男、そのセリフは最後まで言えなかった。
シドウの服が破け、体が急速に膨張。変身が始まったからである。
「うあぁっ!」
真正面から変身を見てしまった中央の男が、尻餅をつく。
目は見開き、口は驚きの声をあげたときの大きさを保ったまま、ピクピクと痙攣していた。
完全にドラゴン姿となったシドウは、左右の二人ずつにも顔を近づけていく。
「ど、ドラゴン――」
他の四人も逃げることすらできず、その場で腰が砕けた。
そしてサッと間合いを詰めたティアが、「はっ!」という掛け声とともに、後頭部に右手で手刀を入れ、一人ずつ気絶させていった。
「おお、これはまた鮮やかですね」
アランはそう言いながら、気絶した男たちの手足を、いつの間にか手に持っていた紐で縛っていく。
あっという間に、五人は拘束された状態となった。
「情けないなー! 見ただけで戦意喪失なんて」
「ティアも最初見たとき腰を抜かしてた気がするけど……」
「なにー? 聞こえないー」
どうやら都合の悪いことは聞こえないらしい――と思いながら、シドウは縛られて地面に並べられている五人を眺める。
あまり聞きたくない話が出てきそうで気が重いが、彼らの意識が戻ったら事情を聴取しなければならないだろう。
「では変身を解くので、二人ともあっちを向い――」
「あ、シドウくん! せっかくなのでちょっとそのままで」
「え?」
町の外れなので、誰かが来てしまう可能性はかなり低いだろうが、ゼロではない。
もう用がないなら変身を解こうとシドウは思っていたが、赤毛の青年からストップがかかった。
「こんなに間近でドラゴンの姿が見られるというのは貴重です。どのみち、この男たちの意識が戻るまで待たなければなりませんし、その間でぜひ少し見させてください」
「あー。わたしもじっくり見てみたい」
「……? はい。俺はかまいませんが」
シドウの中で嫌な予感が沸
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