二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第22話 暗殺
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あついてきてください)
「ここなら大丈夫でしょうかね」
アランに誘導されてたどり着いたのは、町の一番北西。人気のない空き地だった。
割と広い。前と左は町を囲んでいる城壁。右は明らかに廃屋となっている建物の、淡い土色のレンガ塀。背後は人通りのない細い通りである。
やや乾燥気味なので苔などは生えていないが、日当たりもよくなく、どことなく陰鬱としていた。
「さて、尾行さん。気づいていますので出てきてもらって大丈夫ですよ」
アランのその声は、シドウとティアの背後に飛んだ。
――え?
二人は反射的に振り向く。
すると、右の廃屋のレンガ塀の切れ目から、男が五人現れた。
「……!」
男たちは地味な灰色のチュニック姿であり、鎧は着けていない。しかし、いずれも屈強そうな印象だった。帯剣もしている。
年齢は……中年まではいかないが、シドウたちよりも上である感じだ。体格はよいのだが、よく見ると太ってはいない。他の町から来た人間だろう。
シドウはただならぬ雰囲気を感じ、剣を抜いた。
ティアも左手の爪に一瞬目をやる。
五人の男は、退路を塞ぐように包み込むような扇状に広がった。
そして中央の男が一歩前に出て、口を開いた。
「なんだ。気づいていたのか?」
「はい。聖堂を出てからすぐ……ですね」
どうやらずっと後をつけられていたらしい。アランは気づいていたのだ。
(俺、全然気づいてなかったですけど)
(わたしも全然気配に気づかなかったよ?)
(気づいたのはたまたまですよ。まあ、二人よりも長く冒険者をやっていますから、カンは良いのかもしれませんね)
(伊達にオッサンじゃないってことね)
(オッサンって、まだ二十四歳ですよ?)
「ずいぶん緊張感がないようだな……。お前たちと世間話するために尾行したとでも思っているのか?」
「いえいえ、もうタイミング的に非常にわかりやすいですから。私たち三人を消してしまおうということなのでしょう?」
アランはタイミングという言葉を使った。
気持ちとしては、シドウは信じたくない。だが、聖堂であのような聞き取り調査をした直後にこの状況。あからさますぎである。
この町に発生している問題――それを調査されると都合が悪い。暗殺という非合法な手段を採ってでも調査を阻止したい。そう思っている人がいて、この五人を差し向けた、ということになりそうだ。
「そこまで気づいていて、こんな人気のないところに自分から行くとはな。頭がおかしいんじゃないか?」
「そうですか? まあ、こちらには秘密兵器がありますからねえ。この町を一人で滅ぼせるくらいの」
アランはそう言うと、五人の男を見ながら、左手でシドウ
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