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自然地理ドラゴン
二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第22話 暗殺
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で息を吐いた。
 どうやら、聖堂の薬師は問題解決ができそうな体制ではないようである。



 * * *



 薬師へのヒアリングのあと、聖堂の僧侶も一人捕まえて話を聞いたが、やはり前向きな話は聞けなかった。
 薬師同様、現状がよくないという認識はあるのだが、時間的、そして能力的な問題により、手が付けられない状態のようだ。

 一同モヤモヤが晴れないまま、聖堂を後にした。



「まったくもう! なんか全然ダメだね」

 道を歩きながらそう言うティア。彼女は三人の中では最も憤慨していた。
 特に薬師の責任者トーマスに対しては、自身と同年代だけに、その不甲斐なさにご立腹だ。頭から湯気が出ている。

「いえティアさん。私の見立てでは、あの薬師の少年は決して才能がないわけではありませんよ」
「なんでわかるの?」
「前にも言ったとおり、私は言葉を交わせばその人の本質はある程度つかめます。なぜなら私は――」
「優れているからです、でしょ? きもちわるっ」

「ふふふ。あの少年は、環境さえ整えば問題解決のためにきちんと働けるはずです」
「今の状況だと整えるところからやれる人じゃないと困るでしょ!」
「まあまあ。みんながティアさんのように強くてバイタリティがあるわけではありませんよ」

 女性で、しかも十六歳で、独立した冒険者として生活している。そんなティアと比較されるのは、たしかに少し気の毒なことである。

「でもアランさん、それってつまり……」
「はい。これは行政側が動かない限りはなかなか変わらないでしょう。町が動いて聖堂や薬師に資金を出し、あの少年が研究できるように環境を整えさせなければなりません」
「町の問題だから、まず町が戦わないといけない――ということですか」
「そういうことです。シドウくん」

 微笑を浮かべながらアランはそう言うと、歩きながらシドウの首を左腕で抱え、亜麻色の髪を右手でモフモフし始める。
 それをティアが咎め、シドウの頭を右腕で巻き、奪取しようとする。
 しばらく二人のささやかな綱引きがおこなわれた。

 頭を引っ張られながら、シドウは考える。
 まず町が動く必要があるのであれば、やはりこちらの考えをまとめて、冒険者からの意見≠ニしてきちんと町長に陳情をすべきだろう、と。
 では今日このあとは机に向かって作業かな――そう思ったとき。

(さて……。では宿屋ではなく、人がいない町の外れに向かいましょうか)

 アランが、ティアから再奪取したシドウの耳元でそうささやいた。

(え? どうしてですか?)
(なんで?)

 シドウもアランにつられて、小声で理由を聞く。ティアにも聞こえたのか、頭を引っ張る手を止め、小声で続いた。

(ふふ。ま
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