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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝
外伝『雷禍と凍漣〜竜具を介して心に問う』
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るにも関わらず、両者は互いの刃を!柄を!意地を!闘志を!次第に見えない何かを突き当てていく!

――見えない何かが『心』と悟るまでは、まだ少し時間を有するかもしれない――

空さえ穿ち凍てつかせよ(シエロ・ザム・カファ)!!」

天地撃ち崩す灼砕の爪(グロン・ラズルガ)!!」

気力上昇によって特定の竜技を使用可能になり、雷禍の竜と凍漣の竜は最強の『爪』を突き合わせる!!
興奮に沸き返る戦姫の夢幻闘舞。最高の竜技は最後の切り札。結果は――

「ミラ!?エリザヴェータ!?」

ソフィーの身を案じる甲高い声が響き渡る。その残響が、竜技を放った後の凄惨さを物語っている。
土煙が晴れてきた。それにともない、闘者の輪郭も徐々に晴れていく。
だが、二人の心が晴れるまでには至らなかった。
戦姫達は肩で息をきらし――

「それから……」
「ありがとう。もうよろしくてよ」

銀閃の風姫との再戦に必要なことは十分得られた。もはやこの凍漣の雪姫に用はない。お払い箱だ。
ならば、礼代わりにこちらも新たな『力』を見せてくれる。
ふいにエリザヴェータの右手がリュドミラの首元を掴み上げ、そのまま絞首刑を施した。

「あ……が……」

気管支を締め付けられ、抵抗の意志を許さない。

「私の『怪力』も大したものでしょう?」

筋肉と骨格、何より、その行為に釣り合わないリーザの細腕。
リーザの愉悦におぼれる感想は――こうだ。まるで手の中のフィギュアのようだ。と。

「エレオノーラと比べて、頭一個分背が低いと、ちょうど首を掴み易いですわね」

そういうと、リュドミラをレンガの壁面に放り投げ、戦いの終了を宣言した。玩具に興味をなくして捨て去る小人のような仕草だった。

「情報を提供してくれた礼に、この辺にして差し上げますわ」
「ふ……ざけないで……」
「ミラ!」

せきこむリュドミラを介抱しながら、ソフィーはリーザを見据えていた。その瞳にどこか戦慄を帯びている。
ソフィーの見立てでは、純粋な力量技量はミラが上だと推測していた。以前、リーザはエレンに決闘を挑んだものの、全く歯が立たず敗亡した。そのエレンと互角のミラが負けるとは、誰が予想できたことだろうか?

「でも、今後わたくしの邪魔をするのでしたら……容赦しませんわよ?」

謡うようにそう忠告すると、戦装束のドレスと踵を返して去っていった。

「ミラ……彼女は一体どうしたのかしら?」

流石のソフィーも、赤い髪の戦姫が繰り出した怪力に、戦慄を覚えた。
恐ろしいのは彼女の力というより、その変わりようだというべきか。例え、エレンとの決闘で敗北を喫した悔しさをばねにして、たった1年であそこまで力がつくはずもない。竜の膂力と遜色ない、あの異質な
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