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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
外伝
外伝『雷禍と凍漣〜竜具を介して心に問う』
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もはや偽装機能を果たすものではなく、主に移動効率を促すための武器携帯時における『所有面積軽減』として定着している。
ソフィーの錫杖ザートはその竜具の特性と、外交という任務上の必要性からも務めて偽装性が高い――
ヴァレンティナの大鎌エザンディスはその竜具の特性と、暗殺という任務上の謀略性からも、例外ではない――

「あまり抵抗すると痛くなってしまうわよ」

しなる雷禍の鞭が、大気に檄を飛ばす。恐れをなした大気が『雷』を巻き散らす。

「あの野蛮人には――」

穿つ凍漣の槍が、大気に喝を入れる。身をすくませた大気が『雪』を舞い散らす。

「強力な竜具こそあれ、あの野蛮人本人には、弱点といえるものはほとんどない!」

届く、凍漣の一撃にして初撃。
その『冷静』な一閃突きを、雷禍の反撃は『紫電』の軌道にて打ち返す!

「強力な竜具ですって!?」
「ええ!貴女も知っての通り、銀閃アリファールは刀身と鞘の二段構造!だけど、本当に恐ろしいのは刀身のほうじゃない!鞘のほうよ!」
「流星が最も強く輝く瞬間は!燃え尽きる瞬間といわれるように!アリファールが最も強く輝く瞬間は!一気に抜刀する瞬間なのよ!」

待機状態から続く展開状態。それは、翼を雄々しく広げて、天駆ける竜を思わせる、一筋の竜の『涙』だ。
両者、しばし間合いをおく。

「神速の抜刀術は直撃したらタダでは済まないわ!」

抜刀術とは、ヤーファ国に伝わる古来剣術である。
以前母が言っていた。先代、銀閃の戦姫が得意としていた竜具機構の『牙』と『爪』の複合竜技(マルチレイド)
ラヴィアスは『矛』と『柄』を直線に揃えて竜の『角』を――『破邪の尖角』を再現するように――
アリファールもまた『芯』と『鞘』を奔らせて竜の『星』を――『降魔の斬輝』を体現するのだ――
再び両者は爪を咬み合わせていく。

「あと腕っぷしも強くてね!あの怪力で首を締め上げられたら、もう逃げられないわ!」
「……知っているわ」

そこは、リュドミラには聞き取れないほどの声量だった。事実、リーザは昔から知っているのだ。その腕っぷしの強さで、遠い過去にエレンに助けられたのを今でも覚えている。同時に惨めな敗北を悟らされたことも、1年前から――

(この娘自身は、やたらと攻撃的ですわね)

他人の情報を流さないといいながら、必要以上にベラベラしゃべってくれちゃって……猛吹雪のようなミラの助言(アドバイス)に、リーザは涼し気で聞き入れている。そのすましたリーザの態度が、ミラにはかなり気に入らなかった。
まったくもって支離滅裂している。凍漣のくせに烈火のごとく喋ってくれる。聴きもしていないのに。
だが、おかげですごくタメになった。エリザヴェータはそう思った。
そう思案と考察の狭間にあ
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