外伝
外伝『雷禍と凍漣〜竜具を介して心に問う』
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さてさて場所は映って闘技場へ。
ジスタート国王は余興の一環として、戦姫同士の鬱憤を発散させるための施設を造らせた。初代国王の提案らしい。
元々ジスタート王国は、違う部族で動乱を繰り広げていた過程で建国していったのだ。
観客席の無い簡易的な戦闘領域にも関わらず、戦姫の舞踊を引き立たせるための視覚効果が仕込まれている。
剣戟高鳴る反響を増幅させる特殊湾曲壁。凱が居合わせていれば、ここは『空間湾曲戦闘領域』と錯覚しても仕方がないだろう。
確かに、ささいな癇癪で王宮物品が破壊されたのでは溜まったものではない。まして、ここに在る支柱、庭園は国民の血税や職人から賄われている。竜具のほうこそ、もう少し選定基準を厳選してほしいと思うのはヴィクトール王の談。
「もう!戦姫同士の喧嘩はエレンとあなただけだと思っていたのに!」
今でこそエレンとミラの喧嘩仲裁はソフィーの役目だが、以前はサーシャの役目だった。だが、流石にミラとリーザの仲裁をするのは初めてだ。
ここまで点火してしまっては、うかつになだめようとすれば大爆発だ。
ソフィーヤは思案する。二人はなぜこのような問いをするのかを――。
エリザヴェータの問い――エレオノーラの弱点を請う。間違いない。雷禍の彼女は銀閃の姫君に再戦を挑む気だ。
リュドミラの問い――テナルディエ公爵の仔細を伺う。確認した。凍漣の彼女は他国の有力者相関を知って、今後の自分の立ち位置を確立させたいだろう。
「ソフィー!貴女はこういったわね!「わたくしたちは戦姫である前に一人の人間」だと」
確かに自分はそういった。しかし、そういう意味で言ったのではないと、深緑の緑の瞳で訴える。
「人間は平気でウソをつく生き物!けれど!竜具は決してウソをつかない!」
戦えばわかる。人間だれしも極限状態になれば、ウソなどつけようはずもない。青い髪の戦姫はそう主張する。
「私は決してウソをついておりませんわ!リュドミラ!貴女こそ」
「ふざけないで!」
「何かしら?」
「私を見くびらないことね!うかつに他人の情報を流すなんて戦姫失格よ!」
決裂。まくし立てるエリザヴェータに対し、ミラは鋭く切り返す。そんなミラの厳律した態度に、エリザヴェータは微かにたじろいでしまう。
そして――
「……ヴァリツァイフ!」「ラヴィアス!」
待機状態の竜具を臨戦態勢へ移行するには、瞬きする時間ほど要しなかった。そして、竜具の展開のタイミングが同じなら、戦意を向ける瞬間も同じだった。
本来、竜具の待機状態は、初代戦姫の化粧と見立てるための『偽装機能』として考案されたものであるが、自軍への損耗率を軽減するための『被発見率』に重点をおかれたため、
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