第二章
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私に。こう答えてくれた。
「だから今日は音楽はかけてないんだよ」
「カーニバルはいつもそうしてるのかしら」
「そうだよ。いらないからね」
「そうね。音楽はもうあるわね」
正直音楽は聴いてなかった。サンバも賑やかな声も。
ただカクテルを飲むだけ、その一日だった。
そのまま何杯も飲む。そうしていい加減相当回ってきたことを自覚してきたところで。
マスターが。ふと私にこう言ってきた。
「いいニュースができたよ」
「いいニュース?」
「そう、今ね」
こう言ってきた。
「できたけれど聞きたいかな」
「一体何かしら」
「外に出てくれるかい?」
「外に?」
「そう、外にね」
これがマスターの言葉だった。
「それがいいニュースだよ」
「訳がわからないけれど」
私はマスターに怪訝な顔になって返した。
「どういうことかしら」
「外はカーニバルだね」
「今はカーニバルを楽しむつもりはないわ」
「一人だけだとそうだね」
この言葉でだ。私はわかった。
それでだった。微笑みになってそうしてマスターに応えた。
「そういうことなのね」
「じゃあ外に出るかい?」
「そうさせてもらうわ。それじゃあね」
「また今度な」
「有り難う。はい、お勘定よ」
札を出した。それを見てだ。
マスターは少し楽しげに笑って。こう私に返してきた。
「ちょっと多いね。どういうことだい?」
「おつりはいらないわ。つまりね」
「ニュースの提供代かい?」
「そう思ってくれていいわ」
「謝礼かい。そうしたのを受け取る趣味はないんだけれどね」
「じゃあこうしましょう」
マスターの言葉を受けて。それでだった。
私は今度はこうマスターに話した。
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