暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3-β.戦慄と混沌のピンク鎮守府
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でください鳳翔さぁぁあぁぁんッ!!」

 私は肩に天龍二世さんを乗せたまま、逃げるようにその場を走り去る。ダメだ。この鎮守府はピンク色の瘴気に汚染され、マリッジ・ピンクの異空間へと変貌してしまった。この場にいてはいけない……このままでは、私までこの空気に毒されてしまう……

「ハァ……ハァ……」
「コワイカ〜……」

 私は走る。肩に乗ってる天龍二世さんが、私のほっぺたに頬ずりしてきているのも気にせず、ひたすら走る。角を曲がって……廊下をまっすぐ走り……そして執務室の前に来た。

「ハァー……ハァー……」

 私の狙いはただひとつ。この状況下でまったく狼狽えてなかった、鉄の精神の持ち主といえる存在……たくさんのハートを周辺に撒き散らしながら、今度は私の頭をなでなでしている天龍二世さんと違い、とても頼もしいあのお方……。

――……!! ……!!!(ぱちんぱちん)

 砲台子鬼さんの元にいて、その鉄の精神の元、提督が戻ってくるまで執務室にこもり続けることだ。

「砲台子鬼さんッ……!!」
「コワイカ……」
「助けて下さい……私を、この魅惑のマリッジ・ピンクから……!!」

 一縷の望みをかけ、私はドアノブに手をかけた。

――うう……ひぐっ……俺の名は……バツイチ天龍……

「ひいッ!?」

 天龍さんのボイスがバツイチ天龍になっている……だと……ッ!? つまり天龍さんと天龍二世さんは、すでにリコンしているというのか……!? ということは……天龍二世さんは……ケッコンしようと思えば……ゴクリ……ドキドキ……

 ……ダメです! 一航戦・赤城!! この魅惑の瘴気に飲まれてはいけません! 気を強く!! 強く持つのです!!

 私は軽く深呼吸をし、落ち着いてもう一度ドアノブを握る。

――ひぐっ……俺は……お……俺の名は……ひぐっ……

 聞こえない! リコンの悲しみにとらわれる天龍さんの声なぞ、私には聞こえない!! 私は勢いよくノブを回し、そしてドアを急いで開いた。

 ドバンという音とともにひらくドア。そしてその向こう側に佇むのは……

「砲台子鬼さん!!」
『……』

 鉄の精神をもつ砲台子鬼さんだ。私がこの執務室を離れた時とまったく変わらない出で立ちで、寡黙にこの執務室を守り続ける、この鎮守府防衛の最後の砦。私はこの時、砲台子鬼さんのことを、はじめて『頼もしい』と感じた。

「砲台子鬼さん! 助けて下さい!!」
『……』
「皆が……皆がピンク色なんです!!」
『……』

 私は、私のほっぺたに今も頬ずりしている天龍二世さんを気にせず、涙目で砲台子鬼さんに救いを求めた。あなたなら……あなたなら、私を守ってくれるかもしれない。寡黙にこの鎮守府を守り、今も黙って執務室
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