ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3-β.戦慄と混沌のピンク鎮守府
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でください鳳翔さぁぁあぁぁんッ!!」
私は肩に天龍二世さんを乗せたまま、逃げるようにその場を走り去る。ダメだ。この鎮守府はピンク色の瘴気に汚染され、マリッジ・ピンクの異空間へと変貌してしまった。この場にいてはいけない……このままでは、私までこの空気に毒されてしまう……
「ハァ……ハァ……」
「コワイカ〜……」
私は走る。肩に乗ってる天龍二世さんが、私のほっぺたに頬ずりしてきているのも気にせず、ひたすら走る。角を曲がって……廊下をまっすぐ走り……そして執務室の前に来た。
「ハァー……ハァー……」
私の狙いはただひとつ。この状況下でまったく狼狽えてなかった、鉄の精神の持ち主といえる存在……たくさんのハートを周辺に撒き散らしながら、今度は私の頭をなでなでしている天龍二世さんと違い、とても頼もしいあのお方……。
――……!! ……!!!(ぱちんぱちん)
砲台子鬼さんの元にいて、その鉄の精神の元、提督が戻ってくるまで執務室にこもり続けることだ。
「砲台子鬼さんッ……!!」
「コワイカ……」
「助けて下さい……私を、この魅惑のマリッジ・ピンクから……!!」
一縷の望みをかけ、私はドアノブに手をかけた。
――うう……ひぐっ……俺の名は……バツイチ天龍……
「ひいッ!?」
天龍さんのボイスがバツイチ天龍になっている……だと……ッ!? つまり天龍さんと天龍二世さんは、すでにリコンしているというのか……!? ということは……天龍二世さんは……ケッコンしようと思えば……ゴクリ……ドキドキ……
……ダメです! 一航戦・赤城!! この魅惑の瘴気に飲まれてはいけません! 気を強く!! 強く持つのです!!
私は軽く深呼吸をし、落ち着いてもう一度ドアノブを握る。
――ひぐっ……俺は……お……俺の名は……ひぐっ……
聞こえない! リコンの悲しみにとらわれる天龍さんの声なぞ、私には聞こえない!! 私は勢いよくノブを回し、そしてドアを急いで開いた。
ドバンという音とともにひらくドア。そしてその向こう側に佇むのは……
「砲台子鬼さん!!」
『……』
鉄の精神をもつ砲台子鬼さんだ。私がこの執務室を離れた時とまったく変わらない出で立ちで、寡黙にこの執務室を守り続ける、この鎮守府防衛の最後の砦。私はこの時、砲台子鬼さんのことを、はじめて『頼もしい』と感じた。
「砲台子鬼さん! 助けて下さい!!」
『……』
「皆が……皆がピンク色なんです!!」
『……』
私は、私のほっぺたに今も頬ずりしている天龍二世さんを気にせず、涙目で砲台子鬼さんに救いを求めた。あなたなら……あなたなら、私を守ってくれるかもしれない。寡黙にこの鎮守府を守り、今も黙って執務室
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ