ケッコン協奏曲 〜赤城〜
3-β.戦慄と混沌のピンク鎮守府
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何の感慨もわかない、提督のお願いの声を背中に受け、私は執務室のドアを危機開き、皆に伝えるべくその場をあとにする。
「とりあえず外出の件をみんなに報告しないと」
鳳翔さんには、まず最初に伝えなくては……。提督と大淀さんたちは晩ご飯はここで食べるらしいが、それでも帰りは遅くなるかも知れないとのこと。鳳翔さんは、食べる人のことを最大限気遣ってくれる人で、いつも食べる人のタイミングに合わせて、おかずをほかほかあつあつの状態で準備してくれる。ならば、提督の外出の件は知っておきたいはずだ。
私は食堂に向かうことにした。この時間なら、鳳翔さんがすでに晩ご飯の準備に勤しんでいるかも知れない。よしんばいないとしても、食堂ならそう遅くならないうちに、鳳翔さんの方から顔を出してくれる。ヘタに動きまわるよりは、食堂で待ち構えていた方がいいだろう。
……だが今、鎮守府が混沌渦巻く戦慄の事態に陥っていることに、この時の私はまだ気付いてなかった。
食堂入り口に到着した私を待ち受けていたのは……
「あ、鳳翔さんと、天龍二世さんじゃないですか」
「ああ、赤城」
「コワイカ……」
食堂入り口の扉を閉め、その隙間から食堂内部をジッと覗き見る、鳳翔さんと天龍二世さんだった。なんだか妙な光景だ。こんなふうにコソコソとしている鳳翔さんを見るのは初めてだ。性格こそ控えめな鳳翔さんだが、その佇まいは自信に満ち溢れ、いつも堂々としているのに。
「……鳳翔さん、何やってるんですか?」
「シッ……赤城、今食堂に入ってはいけません……」
「?」
「コワイカ……」
「静かに……」
鳳翔さんは、頭にはてなマークが浮かんでいる私に対し、自分の人差し指を口にあて、シーッと言って音を立てるのを禁じた。その後、至極真剣な表情で振り返り、再び扉の隙間から食堂内を覗いている……
「……何なんですか?」
天龍二世さんだけでなく、鳳翔さんまでがそんな行動をしていたら気になる……私は提督お出かけのことを伝えることよりも、鳳翔さんと天龍二世さんが心奪われているものが何かが気になった。二人にならい、私も扉の隙間に顔を近づけ、中の様子を覗くことにする。
「んー?」
中にいるのは……
『どうしたイナズマ? 話があるというから来てみたのだが……』
『集積地さん……電と集積地さんが出会って、もうだいぶ経つのです』
『そうだな。お前には感謝してるよ。深海棲艦の私と……友達になってくれて』
電さんと集積地さんのようだ。そこかしこに椅子はあるのに、なぜか食堂のど真ん中に立っている。集積地さんは電さんの方を向き、電さんはそんな集積地さんに背を向けて、窓の外を眺めて立っている。二人は一体何をしているのだろうか……
『お
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