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ソードアート・オンライン-ゲーム嫌いの少女冒険譚-
アインクラッド編
未来へ
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を返すだけで私の体力を
危険域
(
レッド
)
にまですることが出来るのよ!」
彼女は実に動揺して焦っていた。それもそうだ、彼女を相手するには適正レベルから外れている私が、たった一人で、ボスである彼女のアドバンテージもものともせず、立ち向かう姿があり、その結果ボスを倒そうとするところまで来ている。この状況を、異常だと表現することに無理はないであろう。
「さぁ……ね。案外火事場のバカ力的な物でも働いているんじゃない? これ以上戦うのも厳しそうだし、早くこの場を切り抜けないとね!」
私は彼女の動揺に対してまるでゲームにはないような、火事場のバカ力なんて言葉で返した。ゲームのステータス以外で数値化されない部分、個人の気持ちや感情で思ったよりも遥かに大きな結果を出せるそんな意味のある言葉で、エリゼに返した。話している中でも、
戦場
(
ステージ
)
の崩壊は進んでいく。時間をこれ以上掛けることは、私の精神的な集中力もこの場所が耐えきれる許容量としても決して多くはない。仕掛けるべきタイミングはほんの僅かな一瞬、その一瞬を掴む為に行動する。そう決意して足を踏み出そうとした、その時だった。目の前の世界が揺らいだ。何も攻撃を受けていないのに視界がぼやける。ステータスの異常などで起こるような症状ではないのは、今まで攻略してきている最中で分かっている。それなのに今痛みを感じるということはこの特殊な場所のせいか、はたまた現実の体に負担がかかったのか。この痛みの原因が何であるかは定かではないが、一進一退の攻防が続いている状況でこんな大きな隙は致命傷に繋がる。
「吹き飛びなさい!!」
私に起きた大きな隙を勝機と見たエリゼは大鎌を振りかざしながら突撃してくる。重さを込めたタックル。私は防御する、または回避する選択肢があったが、反応が遅れてしまえば防御行動も回避行動も満足に起こせない。それでも何とか致命傷は避けようと抵抗しようとする。生きるために、明日に進むために。
「痛……ったぁ!! カタナも弾き飛ばされたけど……まだ戦える!」
死に物狂いでエリゼの攻撃を防御した結果、一気に部屋の中央から画面端まで吹き飛ばされた。距離にして10m程か。九死に一生を得たが相棒のカタナは遠くに吹き飛ばされていて取りに行かねばいけなくなり、加えて無理な防御行動の代償で利き腕が切断されてしまった。このゲームで腕などの部位が切断されたからといって痛みが帰ってくるわけではないが、反射的に声が出る。そしてこの状況は非常に問題だ。自分のメイン武器は遠くに飛ばされていて、なおかつ利き腕欠損で戦闘に支障が現れる。しばらくすれば回復するとはいえ、欠損したことによるステータス異常がある中で目の前のエリゼからステータス異常回復まで逃げ切れる、または耐えきれる保証もない。まさに絶体絶命。
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