第一章
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を顰めさせて博士に話していく。
「何かが決定的に違いますよ」
「植物の革命を起こしたと思うがな」
「革命ですかね」
「そうだ。私はやったぞ、革命を」
「革命は革命でも色々ですからね」
中には碌でもない革命もある。むしろそうした革命の方が多い。イギリスの清教徒革命にしてもクロムウェルという狂信的な独裁者を生み出し極めて窮屈な社会をもたらしてしまった。フランス革命も多くの血を流してしまっている。ロシア革命は果てはソ連という全体主義国家に行き着いた。ジェトーリオもそうしたことを知っているからこそ博士にあえてこう言ったのだ。
「まあ。ロシア革命にならないことを祈りますよ」
「革命の中でも最悪の革命じゃないか」
「流石にスターリンが出るかどうかはわかりませんけれどね」
ジェトーリオにしてもそこまでは言わなかった。彼にしても博士は立派な科学者だと尊敬しているのだ。その才能は認めているし悪人ではないこともわかっていた。
だがそれでもだ。その大根達を見て流石にこれは失敗だろうとだ。ジェトーリオはほぼ確信していた。だが、だった。
ある日のことである。博士がそうした自分達から動く野菜達を栽培しているその畑に近所の不良達が忍び込んだ。畑から野菜を拝借、はっきり言えば盗むつもりでそうしてきたのだ。
彼等は夜の闇の中に隠れそのうえで身を潜めながらだ。こんなことを囁き合っていた。
「じゃあ今から盗むか」
「それで何盗もうか」
「どれを盗む?」
その盗むものについてだ。彼等は抜き足差し足忍び足で進みながら囁き合う。誰もいないことを見計らっているがそれでもこそこそとしているのは疚しいことをしているからに他ならない。
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