総力戦! 絆が繋ぐ勝利
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ティアスの体を削っていくが、勢いは徐々にメガラティアスが押していき──ついに、最後の光の剣をラティアスの思念が砕いてラランテスの元へと突き進んだ。
「しゃらぁ、ん……」
炎タイプの強烈な一撃に、ラランテスがふらふらとよろめき、後ろに倒れる。しかしそれを、ゴコウがしっかりと受け止めた。ラランテスの体は焼けていてそれに触れるゴコウもかなり熱いはずなのだが、辛そうな顔を見せない。
「よくやった桜に幕、お前らのおかげでいいバトルが出来たぜ……」
「しゃらんらー……」
ゴコウが花札にラランテスを戻す。ジェムには戻る直前のラランテスの声は、とても嬉しそうに聞こえた。試合終了の音声が流れ、ジェムの勝利を告げる。
「勝った……やった、私たち……やったよ! ラティ、みんな!」
少しの間だけジェムはぽかんとしていたが、勝利を実感すると比喩ではなく飛び上がって喜び、近くにきたラティアスを抱きしめようとする。ラティアスは慌ててメガシンカを解き、まだ熱気でホカホカの身体で喜ぶジェムと勝利を分かち合う。もちろん、ボールの中のみんなと一緒に。
「ははっ、いい喜びっぷりだぜ。負けたほうも気持ちがすっとすらあ……ほらよ、これがバトルダイスのラックシンボルだ!」
ゴコウがジェムの元に歩み寄り、大きな手のひらにはすごく小さく見えるサイコロの6の目を象ったシンボルを渡す。でもジェムがそれを手に取ってみると、とても大きく価値あるものに見えた。
「ありがとうゴコウさん。あのね……私、このバトルフロンティアに来てから勝って一番嬉しいかもしれない。誰かのためじゃなくて、自分と自分のためを思ってくれる人のために勝つって……こんなに気持ちよかったのね」
自分の胸のうちをありのまま言葉にしてみる。父親のために勝とうとしていた時はある意味勝つのは当たり前、そうでなければいけないものだった。だけど今は誰かに縛られず、純粋に勝利を喜べる。それが嬉しかった。
「そうよ、勝負ってのはそうでなきゃいけねえ。前に戦った時はそこが不安だったんだが……今の嬢ちゃんなら何の心配もねえ。勝ったり負けたりしながら、いくらでも前に進めらあ!」
「そうかな……ありがとうゴコウさん、またいつかバトルしましょうね。」
「おお、その時また語ってくれよ、嬢ちゃんの成長を期待してるぜ!」
「うん! その時もまたポケモンバトルで……ね!」
トレーナー同士ならバトルで語ればいい。それで想いは伝えられる。そのことを学び、ジェムはバトルダイスを後にする。ダイバと合流し、次へ挑戦するために──
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