暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
総力戦! 絆が繋ぐ勝利
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真正銘最強最大の役よ! これが儂のリーサルウェポン……5枚目、桜に幕!!」


 最後の絵札に映るのは、紅白の幕飾りを背に上品に立つ着物姿の女の人……ではなくそれに似たポケモンだった。飛び出てきた桜色のポケモンは、振袖のような鎌をちらりと見せて、まるで口元を隠して笑う女の人のような仕草を取る。はなかまポケモンのラランテスだ。

「草タイプだよね……なら任せたよ、キュキュ!」

 ジェムはラティアスを下げ、炎タイプのキュウコンに変える。ラティアスがキュウコンの入ったボールに自分の額をこつんとぶつけ、自分のボールに戻っていった。多少ダメージを負いながらもまだまだ余力のあるキュウコンが、一鳴きとともに姿を見せる。

「しゃらんらー、らんら?」

 しかしゴコウの最後のポケモン、ラランテスはバトル中だというのにゴコウをちらりと振り向いた。炎タイプであるキュウコンへの恐れなど微塵もないように見える。見返り美人、という言葉がジェムの頭の中に浮かんだ。

「おおそうよ、あのお前とほとんど背の変わらない嬢ちゃんがお前をバトルに呼び出したんだ」
「しゃららん」

 ゴコウが真剣ながらも、大事な娘を扱うような優しさのある声で言う。それを聞くと、ラランテスはジェムとキュウコンに丁寧に頭を下げてお辞儀をした。

「あっ、えっと、よろしくね!」

 ついジェムも釣られて頭を下げてしまう。そうしないと失礼だと思ってしまうような、不思議なポケモンだった。

「桜に幕の挨拶も済んだところで、さっそく決めさせてもらうぜ……『五光』をな!」
「ゴコウさんの名前と同じ技ってこと……? 来るよキュキュ!」
「『五光』は松に鶴、芒に月、桐に鳳凰に! 小野道風がバトルに参加した時のみ、桜に幕が使用することが出来る技! 見せてやれ桜に幕!」
「しゃらんら〜!!」

 ラランテスが打って変わって素早い動きで体を捻る。そして捩れたゴムが戻るように更に素早くきりきりと舞って体が回転すると――目にも留まらぬ速さで、5条の『ソーラーブレード』が飛んできた。スピードを鍛えたはずのキュウコンが、逃げるための反応すらできずに体を突き刺され吹き飛ばされる。

「キュキュ!!」
「体を大きく捻り、戻る勢いすら利用して『ソーラーブレード』を連発する桜に幕の、いや儂ら花札ポケモン達の必殺技……炎タイプだからってダメージを既に受けてるのに耐えられるようなもんじゃねえぞ?」

 ジェムが思わずキュウコンの体に触る。尻尾と体を貫かれ、少なくない血が滲んでいた。ドダイトスとの戦闘で受けたダメージも合わせれば確実にもう戦わせられない。でも、キュウコンの眼はまだ諦めていない。

「ごめんね、後ちょっとだけ頑張って……『鬼火』!」

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