二章 追いつかない進化 - 飽食の町マーシア -
第21話 若き薬師
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。まあ私もそれで足を失った一人ではあります」
「あ、やっぱりそうでしたか。申し訳ありません」
町長の足がない理由について、シドウは薄々わかってはいたが、無礼だと思い直接聞こうとは思っていなかった。
あたかも誘導してしまったかのようになってしまい、シドウは少々慌てた。
「いえいえ、よいのです……。それで、薬師には何か相談をされるということなのですか?」
「はい。自分たちは今のところ、この現象は呪いや魔法の類ではなく、病気だと考えています。なので、この聖堂や薬師の方々が現在どう考えていて、どこまで研究されているのかを確かめたいなと」
「それはそれは……。よその方々にそこまで心配していただいて大変恐縮です」
何かあれば私にも遠慮なくおっしゃって下さい――。
町長はそう言って去っていった。
「僕がこの治療所に出入りしている薬師の責任者です。トーマスと言います」
応接室でそう自己紹介してきたのは、おかっぱ頭の少年だった。
薬師なのでタリス教の僧侶ではないと思われるのだが、足下くらいまで丈のあるダブダブの僧衣を着けていた。おそらく、聖堂の職員と服装を統一することになっているのだろう。
その僧衣は濃紺を基調としており、中央には十字の印が入っていた。
タリス教の僧衣の色は階級を表しており、偉い順に白・青・濃紺・黒となっている。この少年は責任者ということもあり、一般の僧侶よりは高い位の待遇となっているようだ。
彼の顔は……丸い。体もぽっちゃりしている。
が、それ以上に、とにかく若いことが印象的だ。まだあどけなさが残っている。
シドウ、ティア、アランの三人は、そんな彼が責任者と聞いて顔を見合わせてしまったが、すぐに挨拶を返して自己紹介を済ませた。
「ずいぶん若いね? シドウと一緒くらいじゃない?」
「俺と一緒くらいなら、ティアとも一緒くらいということだよね。なんで俺の名前だけ出すの」
「うふふっ」
ティアに引き続き、アランも興味深そうに彼の若さに触れていく。
「その若さで責任者ということは、相当に優秀な薬師さんなのでしょうね……。まるで十代のころから天才魔法使いと言われていた私のようです」
「アランの場合は『自称』でしょ」
「ふふふふ」
だがそこで、トーマス少年は意外なことを言いだした。
「いえ、僕はどちらかと言うと落ちこぼれでした。でも前任の責任者や他の経験豊富な薬師がいなくなって、残っているのは僕より若い人ばっかりで……。仕方なく責任者をやっている感じです」
また三人で顔を見合わせてしまう。
「あの……。前の責任者や、あなたより年上の他の薬師は……なぜいなくなったのか、聞いても問題ないですか」
シドウは恐る恐る、そう聞
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