ガンダムW
1641話
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茶は美味かったが……こう見えて、俺も忙しい身だ。そろそろ連合軍の基地に戻る必要があるから、この辺で失礼させて貰いたいんだが……構わないかな?」
証拠がないのに、これ以上引き留めるような真似をするな。
そんな緯線を向けられたザイードは、数秒の沈黙の後にやがて頷きを返す。
「うむ、分かった。だが……最後に1つだけ聞きたい。君は……いや、君達シャドウミラーは、この世界に何をもたらすのかね?」
この世界という言葉に、少しだけ驚く。
だが、ザイードは別に俺が他の世界からこの世界にやってきた事を理解している訳ではなく、あくまでも比喩としてそう告げたのだろう。
それに気が付くと落ち着き、最後に残っていた紅茶のカップに手を伸ばしながら口を開く。
「何を、か。……それは俺達に聞くにしても、随分と抽象的な質問だな。俺達は別に世界の命運をどうこう出来るような存在じゃないぞ? 結局のところ、ただの傭兵だ」
「君達が傭兵だというのは異論はない。だが、ガンダムという高性能MSを2機も所有し、同時にそのガンダムを複数敵に回してもやり合えるだけの……今ではシャドウミラーの象徴、そしてこの地球圏で最強のMSと呼ばれるトールギスを操る傭兵団だ。戦力的に考えれば、私の考えは決して間違ってはいないと思うが?」
綾子の操るトーラスが戦力の中に入っていなかったのはどうかと思うが、ザイードの疑問は正しい。
だからこそ、ノベンタも俺達を取り込むべく、色々とこちらに有利な条件で契約を結んでいるのだから。
……まぁ、その分思い切り働かされてるのを考えると、五分の関係と言ってもいいだろうが。
「そうだな……今のところは、この世界の平穏かな?」
これは決して嘘ではない。
ホワイトスターとの連絡が付かない以上、いつまでこのW世界に滞在する事になるのかは分からないが、それでも下手をすれば10年、もしくはそれ以上の長い間滞在する可能性もある。
……まぁ、凛が宝石剣を使ってホワイトスターに帰る事が出来るという可能性もあるが……その辺り、どれだけ成功の見込みがあるのかは、俺にも分からない。
宝石はそれなりに渡しているんだし、出来ればそうなると一番楽なんだが。
ともあれ、荒事が得意な俺だが別に好きで戦争の中を生きている訳ではない。
出来れば普通に……平穏に暮らしたいという思いもないではないのだ。
そう、出来れば俺と凛と綾子の3人で爛れた生活を……いや、それはそれで不味いか。
とにかく、OZが……ロームフェラ財団が治める世界で暮らすというのは絶対にごめんだし、戦国時代さながらに多種多様な勢力が乱立している状況も面白くはない。
理想的なのは、やっぱりノベンタのような穏健派がトップを務めている組織が世界を治めてくれる事だ。
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