ケッコン協奏曲 〜赤城〜
5.五人に幸あれ
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れちゃうんで、仕方なく頭の上に乗せてみたんですよね」
「そしたらそれが随分気に入ったみたいでな。俺の頭からどいてくれんのだわ」
くすくすと可笑しそうに笑う大淀さんとは対照的に、提督はほとほと困り果てたという感じで、自身の頭上の砲台子鬼さんに視線を向けていた。一方の砲台子鬼さんは、青葉さんへの砲撃はもう気が済んだのか、モールドから蒸気を吹き出して、余計な圧力をぷしゅーっと抜いていた。その瞬間、提督の髪がパタパタとなびいていた。
「まぁ……俺にくっついてりゃ、俺の護衛って言い張ることもできるし……」
「別にこのままでもいいかってことになったんですよね? フフ……」
これは予想外。ここに来てロドニーさんと戦艦棲姫さん失業の危機が……まぁこの二人なら護衛じゃなくても、この鎮守府でできる仕事はいっぱいありますし。食いっぱぐれることもないでしょう。
それにしても、ここまで提督と砲台子鬼さんがベタベタイチャイチャしてて、大淀さんは平気なのだろうか。昨日はケッコンカッコカリが成立した瞬間を見て、あんなにショックを受けていたのに……今は、そんな二人の様子を、実に微笑ましく眺めている。
「大淀さん」
「はい?」
「平気なんですか? そのー……あの二人が……あれだけ仲が良くて……」
それに、提督と砲台子鬼さんの二人は、ケッコンカッコカリが成立してしまっている。それなのに、彼女は平気なのだろうか……。
だが、そんな私の心配をよそに、大淀さんは私の質問に対して、笑顔でこう答えてくれた。
「いいんです。ケッコンカッコカリが成立したってことは、それだけ彼のことを信頼してくれているということですから」
「はぁ……」
唐突に、大淀さんの目の前にある電話機がジリリリリンとなり始め、絶妙のタイミングで話の腰をおられた。
「ぁあ、ちょっと電話に出ますね赤城さん」
「はいどうぞ」
『では……』と私に断りを入れて、大淀さんは電話の受話器を左手で取った。
この時私は、大淀さんが提督と砲台子鬼さんのイチャイチャを微笑ましく眺める理由に、察しがついた。この電話は、話の腰を折るためにかかって来たんじゃない。きっと、真面目で恥ずかしがりやの大淀さんの代わりに、私に本当のことを伝えるために鳴ってくれたんだ。
「はい、新小岩鎮守府です。……はい。サクラバですね。少々お待ちくださいませ」
「コラッ……頭の上に乗るのはいいけど、足で髪をくしゃくしゃするのはやめなさいよ……」
「イ……提督。お電話です。あなた宛に」
「ほいほい? どなた?」
「司令部です。ケッコンカッコカリに関することで……」
「ほい了解。大淀、ありがと」
「どういたしまして」
そんな感じの会話を交わした後、受話器を渡す大淀さんと
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