第百四話 夜の海と花火その六
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「やらせてもらいます」
「それでは」
「一人で外に出そうな娘がいれば」
「ご同行されて下さい」
「そうさせてもらいます」
「私は夜は飲みに行きます」
「そうされますか」
「バーかパブに」
そうしたお店でというのだ。
「何か飲みます」
「じゃあそちらを楽しまれて下さい」
「ただ、何かありましたら」
その時はとだ、畑中さんの言葉に剣が宿った。
「私はすぐに行きますので」
「そうされますか」
「はい、私はお酒は好きですが」
見れば今もワインをいいテンポで飲んでいる、そういえば畑中さんもお酒をよく飲んでいるけれど酔ったところは見たところがない。
「中々酔わないのです」
「お酒は強いですね」
「そうです」
「だからですか」
「お酒を楽しんでいきますが」
それでもというのだ。
「何かあれば」
「すぐにですか」
「そちらに行かせてもらいます」
現場にというのだ。
「そのうえで皆様をお助けします」
「そうですか」
「今は木刀を持っていませんが」
その十一キロあるというだ、冗談抜きでそんなもので打たれれば怪我じゃ済まない。一撃で骨が粉々になりそうだ。
「警棒を持っていますので」
「あっ、二段とか三段の」
「二段のものを」
そちらをというのだ。
「服のポケットに収めています」
「そうですか」
「それに古武術もしていますので」
剣道、直新陰流だけでなくだ。
「素手でも何とかなりますので」
「だからですか」
「何かあればです」
その時はというのだ。
「向かわせて頂きます」
「それじゃあ」
「何かあればお呼び下さい」
僕に確かな声で言ってくれた。
「微力ながら」
「お願いします」
僕も畑中さんにこう答えた。
「その時は」
「はい、それでは」
「皆様にもお話しています」
いざという時はというのだ。
「どの方にもスタンガン等をお渡ししたうえで」
「スタンガンもですか」
「はい、用心の為に」
まさにというのだ。
「そうさせて頂きました」
「徹底していますね」
「何かあってからでは遅いです」
畑中さんの今の言葉は確かなものだった。
「ですから」
「もう、ですか」
「義和様にはお話していませんでしたが」
「いえ、そうしたことはお任せしていますし」
実際そうだ、本当に畑中さんには何から何までしてもらっている。ここで皆メインディッシュを食べ終えた。美味しいマトンだった。
「どうぞ」
「はい、それでは」
「それでなのですが」
「それでとは」
「スタンガンもお渡ししてくれて」
「何かあればです」
「畑中さんご自身もですか」
「行かせて頂きます」
「そうですか」
「そして何かあれば」
まさにその時はというのだ。
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