第百四話 夜の海と花火その三
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オードブルは海老とセロリやアスパラガス、ブロッコリーをバランスよくあっさりと調理したものでそこからまた野菜料理が出て。
魚料理だった、僕はその魚料理の鮭のカルパッチョを食べつつだ。
一緒の席の畑中さんにだ、こう言った。
「何かどうも」
「シーフードがですね」
「多い感じですね」
「そうですね、このメニューは」
「野菜料理もありましたけれど」
「海草、魚介類にと」
「海の幸が多くて」
向かいの席の畑中さんに話した、そのせいか一緒に飲む白ワインが美味しい。
「しかも新鮮で」
「やはりすぐそこに海がありますから」
「だからですね」
「新鮮な海の幸に困らないのです」
このハウステンボスでもというのだ。
「有り難いことに」
「そうなんですね」
「ですから」
「こうして美味しいシーフードが食べられる」
「そうです、そして」
「次はですね」
「メインディッシュです」
それになるというのだ。
「羊料理です」
「ラムですか」
「いえ、マトンです」
成人した羊のお肉だというのだ。
「そちらです」
「マトンですか」
「皆様そちらもお好きなので」
それでというのだ。
「メニューを決めさせて頂く際にです」
「マトンにされたんですか」
「はい」
その通りという返事だった。
「左様です」
「そうですか」
「義和様もマトンには抵抗がないですね」
「好きです」
僕の偽らざる好みだ、口は嘘を言えても舌は無理だ。
「匂いも」
「他の皆様もそうなので」
「日本人のですね」
「日本人の間ではです」
「はい、マトンについては」
「匂いに抵抗のある方がおられます」
畑中さんが懸念しているのはこのことだった、とにかくマトンは匂いが問題になる。肉にある独特の匂いだ。
「ですから」
「それがあるからですね」
「若し抵抗のある方がおられれば」
「マトンは止めていましたか」
「ラムか牛肉にしていました」
「そうですか」
「はい」
僕にはっきりと答えてくれた。
「ですがどの方も抵抗はないので」
「マトンにされましたか」
「左様です、ご期待下さい」
「楽しみにしています」
僕は微笑んで畑中さんに答えた。
「どんなものか」
「そうされて下さい、そしてデザートはです」
「最後のそれは」
ここでワインが変わった、これまではシーフードがメインだったので白ワインだった。魚介類だとやっぱりワインは白だ。
赤ワインになった、その赤ワインを飲みながら畑中さんに尋ねた。
「何ですか?」
「ピーチメルバです」
「ピーチメルバですか」
「はい、そうです」
「確かあれは」
ピーチメルバと聞いてだ、僕は言った。
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