第百四話 夜の海と花火その二
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「何かバイオリンとか演奏している人がいてもですね」
「おかしくないですね」
「そんな感じがしますよね」
「はい」
実際にとだ、裕子さんは僕に答えた。
「こうしたレストランでも」
「演奏や伴奏がありそうですね」
「欧州の様に」
「そうですね、ここはです」
「音楽は」
「こうした時間は演奏されなかったと思います」
僕が覚えている限りではだ。
「そうしたサービスはなかったです」
「そうですか」
「ですから夜に」
「そのバーに行って」
「楽しまれるといいかと」
「わかりました」
「夜までやっているお店もありますから」
このハウステンボスにだ、そのバーにしてもだ。
「楽しまれて下さい」
「それでは」
「早百合さんもですね」
僕は早百合さん、丁度僕達の真後ろにいたこの人にも顔を向けて話した。
「楽しまれて下さい」
「ピアノの演奏が出来ますね」
「はい」
その通りという返事だった。
「お願いすれば」
「お金は」
「八条グループの関係者でしたら」
つまり僕達でもだ。
「無料なので」
「それでは」
「楽しまれて下さい」
「わかりました」
早百合さんも僕の言葉に答えてくれた、そして。
丁度ここで僕達は食堂に入った、するとだった。
早百合さんは手袋を脱いだ、そのうえで言うのだった。
「お食事ですから」
「手袋を、ですね」
「脱ぎました」
「ですが手袋は」
黒い皮の手袋だ、早百合さんはピアノを演奏している手をガードする為にいつも手袋をしている。これがこの人のトレードマークになっている位だ。
「お食事の時も」
「普段は着けていますが」
食事の時もだ。
「ですがこうした場では」
「正装でなくてもですか」
「マナーが重視されますので」
それでというのだ。
「脱ぎます」
「そうですか」
「普段は本当にです」
「演奏の時や寝られる時以外はですね」
「外さないですが」
それでもとだ、僕に話してくれた。
「今は別です」
「そうですか」
「脱いで」
そしてとだ、また僕に話してくれた。
「頂きます」
「わかりました、じゃあ」
「はい、召し上がりましょう」
このディナーをだ、裕子さんそれに早百合さんと話してだった。
僕達は食堂に入ってそれぞれの席に座った、それから。
スープにサラダ、オードブルと食べていった。スープはシーフードのコンソメスープでサラダも海草を使ったものだった。
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